アメリカン・ウィンド・シンフォニー・オーケストラ

アメリカン・ウィンド・シンフォニー・オーケストラ

アメリカン・ウィンド・シンフォニー・オーケストラ（American Wind Symphony Orchestra）は、アメリカ合衆国を拠点とする独特な編成を持つ吹奏楽団です。

概要

1957年、指揮者ロバート・オースティン・ブードロー（Robert Austin Boudreau）によって創設されました。オーディションによって選抜された演奏家たちで構成され、毎年夏にはアメリカ、カリブ海地域、ヨーロッパ各地を巡り、主に船上や屋外ホールといったユニークな場所で演奏活動を展開しています。

編成

オーケストラの管打楽器セクションに相当する編成を基本としています。具体的には、四管編成のオーケストラから弦楽器を除いた構成をイメージするとわかりやすいでしょう。楽曲の指定に応じて、派生楽器への持ち替えや奏者の増減が行われる点が特徴です。

木管楽器: フルート4、オーボエ4、クラリネット4、ファゴット4
金管楽器: トランペット5、ホルン5、トロンボーン5、チューバ1
打楽器: ハープ、ピアノ、チェレスタ

特筆すべき点として、サクソフォーンやユーフォニアムは標準編成には含まれていません。この点が、アメリカや日本で一般的に見られる吹奏楽団とは大きく異なる点です。

レパートリー

レパートリーは非常に幅広く、古典音楽から現代音楽まで多岐にわたります。既存の楽曲をこのオーケストラのために編曲した作品も多く演奏されます。中でも特筆すべきは、数多くの近現代の作曲家に対して積極的に作品を委嘱している点です。その数は400曲を超え、吹奏楽の新しい可能性を切り開いています。

委嘱作品の例

以下に、アメリカン・ウィンド・シンフォニー・オーケストラが委嘱した作品の作曲家の一部を列挙します。

サミュエル・アドラー（Samuel Adler）
Mario Kuri Aldana
Efrain Amaya - 3つのマリンバのための協奏曲、フルートのための協奏曲
David Amram - リア王変奏曲、ホルンとウィンド・シンフォニー・オーケストラのための協奏曲
Thom J. Anderson
アレクサンドル・アルチュニアン（Alexander Arutiunian） - トランペットと管楽のためのラプソディ
Blas Atehortua - オスティナート・ファンタスティコ、2つのマリンバとウィンド・オーケストラのための協奏曲
ジョルジュ・オーリック（Georges Auric） - ディヴェルティメント
ヘンク・バーディングス（Henk Badings）
ロバート・ラッセル・ベネット（Robert Russell Bennett）
ウォーレン・ベンソン（Warren Benson）
エルマー・バーンスタイン（Elmer Bernstein）
ウジェーヌ・ボザ（Eugène Bozza） - 子どもの序曲
レオ・ブローウェル（Leo Brouwer）
ジャック・カステレード（Jacques Castérède） - 夏のディヴェルティスマン
黛敏郎
三善晃
和田薫
クシシュトフ・ペンデレツキ（Krzystof Penderecki） - ピッツバーグ序曲
ホアキン・ロドリーゴ（Joaquín Rodrigo） - 吹奏楽のためのアダージョ
ラロ・シフリン（Lalo Schifrin）
* エイトル・ヴィラ＝ロボス（Heitor Villa-Lobos）

（上記はほんの一例です。）

アメリカン・ウィンド・シンフォニー・オーケストラは、その独特な編成と革新的なレパートリーによって、吹奏楽の可能性を広げ続けている団体と言えるでしょう。

外部リンク

公式ウェブサイト

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