アメリカ化学会

アメリカ化学会（ACS）について

アメリカ化学会（American Chemical Society、略称ACS）は、アメリカ合衆国を拠点とする、化学に関連する研究と教育を支援する世界最大の学術専門団体です。本部はワシントンD.C.とオハイオ州コロンバスに位置しています。

設立と会員数

ACSは1876年に設立され、現在その会員数は約163,000人に達しています。この数字は、科学系の学術団体としては世界でも最大です。ACSは毎年二度、全国規模の会議を開催し、化学の全領域を対象に研究者や学生が集まります。また、特定の分野に焦点を当てた小委員会も数多く運営されています。

出版部門とデータベース

ACSは、39の科学雑誌を出版しており、その多くは各分野で権威あるトップジャーナルにランクされています。特に、1879年から発行されている「米国化学会誌（Journal of the American Chemical Society, JACS）」は著名で、高いインパクトファクターを誇ります。

さらに、ACSは「Chemical Abstracts」データベースを運営しており、これは8,000種類以上の定期刊行物、特許、学会の議事録、新刊図書のデータが収集されています。このデータベースには、各物質に一意のCAS登録番号が付与されており、化学者にとって不可欠なリソースとなっています。このChemical Abstracts Service（CAS）は、ACSにとって重要な収入源でもあります。

国際化学オリンピック

ACSは、国際化学オリンピック（IChO）のアメリカの代表チームを選出するための「米国化学オリンピック（USNCO）」を主催しています。この大会は、優秀な高校生化学者を選び、国際的な競技に参加させる重要なイベントです。

顕彰プログラム

毎年、ACSは化学の研究における卓越した業績を称えるために、様々な賞を授与しています。特に有名な賞には以下のようなものがあります：

• - プリーストリー賞：ACSの最高賞で、1922年に設立されました。
• - ウィリアム・H・ニコルズ賞：1903年から利用されている賞です。
• - ウィラード・ギブズ賞：1911年に設立された歴史ある賞です。
• - アーヴィング・ラングミュア賞：アメリカ物理学会と共同で1931年に創設されました。
• - ACS純粋化学賞：同じく1931年に設立され、多くの優れた研究者を表彰しています。

このように、ACSは化学の研究と教育を促進するために、多岐にわたる活動を展開しています。会員や研究者にとって不可欠な情報源となる雑誌やデータベースを提供し、優秀な化学者の育成を支援することで、化学の発展に貢献しています。

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