アメリカ合衆国商務省産業安全保障局

アメリカ合衆国産業安全保障局（BIS）

アメリカ合衆国産業安全保障局（Bureau of Industry and Security, BIS）は、アメリカの商務省に属する機関で、国家安全保障と高度な産業技術に関連する問題に取り組んでいます。BISの主な役割は、国の安全を確保しつつ、経済的な利益や外交政策を支えることにあります。

BISの任務

この機関の最も重要な目標は、アメリカ合衆国の輸出を促進する一方で、大量破壊兵器の拡散を防止することです。具体的な業務には、機微な物品や技術の効率的な輸出管理が含まれており、輸出規制や公共の安全にかかわる法律を施行しています。さらに、他国との協力や助力を通じて、戦略的貿易の問題を解決することも重要な任務にあたります。

BISは、アメリカの産業界が国際的な武器規制協定を遵守するように支援し、同時に防衛産業の基盤が成長する可能性についても監視しています。また、国家の基幹施設の保護に関して、連邦政府との連携を促進し、公私の協力を推奨しています。

輸出される物品や技術の中には、商務省からの許可が必須なものが多く存在します。そのために、輸出管理分類番号（ECCN）が設けられており、これを用いて輸出許可の必要性が判断されます。

エンティティリストの作成と管理

BISは、輸出管理規則（EAR）に基づいて、安全保障上の脅威などの理由から特定の外国企業や個人等をリスト化し、輸出規制をかける「エンティティリスト」を作成しています。このリストに名を連ねた者への輸出は厳しく制限され、違反があった場合は「ディナイド・パーソン・リスト」にも掲載されることになります。ディナイド・パーソン・リストは、アメリカ国内での商取引を禁止するリストであり、輸出が行われた場合、厳しい処罰が課せられます。

エンティティリストは、アメリカ国外の企業活動にも適用され、その影響は広範囲にわたります。特に、2019年に米中貿易戦争の中で、中国のファーウェイがエンティティリストに掲載された際には、Googleやインテル、クアルコムなどの大手企業が即座に取引停止を表明しました。これにより、BISのリストが持つ影響力が再確認されました。

また、人権側面からリスト入りするケースも増えており、同年には中国・香港の28法人が人権蹂躙を理由にリストに加えられました。さらに、2020年12月には、ドローンメーカーのDJIも同様の理由で追加されており、エンティティリストはその重要性を増しています。

エンティティリスト具体例

エンティティリストには、ファーウェイおよびその関連企業の100社以上をはじめ、以下のような企業が掲載されています：

• - ハイクビジョン
• - ダーファ・テクノロジー（浙江大華技術）
• - ZTE（中興通訊）
• - 中芯国際集成電路製造（中芯国際）
• - DJI（大疆创新科技）

これらの企業は、さまざまな理由から輸出管理の対象となっており、商品の出荷が厳格に制限されています。これにより、国際的な安全保障や商業秩序が維持されることを目指しています。

結論

アメリカ合衆国産業安全保障局は、国家の安全と技術の管理を担う重要な機関です。その活動を通じて、アメリカの経済と安全保障が確保されるよう、国内外の企業活動に目を光らせています。

もう一度検索