中芯国際集成電路製造

中芯国際集成電路製造有限公司（SMIC）について

中芯国際集成電路製造有限公司（Semiconductor Manufacturing International Corporation、SMIC）は、中国・上海に本社を置く半導体ファウンドリ企業です。350nmから最先端の7nmプロセス技術まで幅広い製造サービスを提供しており、中国の半導体産業において重要な役割を果たしています。国営の通信機器プロバイダーであるDatang Telecom Groupや中国国立集積回路産業投資ファンドが主要株主です。

設立と成長

SMICは2000年4月3日に、張汝京氏によって設立されました。張氏は、かつてテキサス・インスツルメンツに在籍し、後にTSMCを創業したモリス・チャンの部下でした。彼は、台湾で設立した世大積体電路をTSMCに売却した後、数百人の部下と共に上海に移り、SMICを立ち上げました。設立当初から官が資本を負担し、民間で運営するという異例の形式でスタートしました。8インチウェハー工場から事業を拡大し、わずか3年で世界4位のファウンドリへと成長を遂げました。2004年には香港証券取引所とニューヨーク証券取引所に上場を果たしました。

技術開発と訴訟

2008年には65nm技術を発表するなど、技術開発も進めました。しかし、設立当初からTSMCとの間で訴訟が繰り返されました。2009年には、特許と営業秘密の侵害をめぐる訴訟で和解し、TSMCに2億米ドルの賠償金とSMIC株式の一部を譲渡しました。この訴訟の影響で、創業者である張汝京氏はCEOを辞任することになりました。

その後も技術開発を続け、2012年には40nmチップの製造を開始、2015年には28nm製品ラインを立ち上げました。2017年には、TSMCとサムスン電子で研究開発部門の責任者を務めていた梁孟松氏が共同CEOに就任しました。しかし、2020年には、SMICの社外取締役であった蒋尚義氏が副董事長に就任したことに抗議して、梁孟松氏が辞表を提出するという騒動もありました。

米中関係と上場廃止

2019年には、取引高の減少や上場維持コストを理由にニューヨーク証券取引所での上場を廃止しました。これは、米中対立の影響も指摘されています。しかし、OTCQX Best Marketを通じて、アメリカの投資家も取引を継続できるようになっています。同年には、初のFinFETベースの14nmプロセス技術を使った生産を開始しました。2020年12月には、アメリカ合衆国商務省産業安全保障局によって、エンティティリストに加えられ、先端微細化に必要なEUV露光装置の調達が困難になりました。これは、SMICが中国の軍事関連企業と関係があるとの疑念によるものです。

7nmプロセス技術の開発

2022年7月には、調査会社TechInsightsがSMICの7nmプロセスルールのチップ生産を報告しました。これは、TSMCやサムスン電子に次ぐ開発成功であり、最先端のEUV露光装置を使用せずに、既存の機器を用いて7nmプロセス製品を生産したと見られています。この開発チームは梁孟松氏が率いたとされています。翌2023年には、SMICが世界3位のファウンドリに成長したと報じられました。

各国の動向

SMICはアメリカ合衆国商務省産業安全保障局のエンティティリスト掲載企業であり、その動向は国際的に注目されています。

主要顧客

SMICの顧客には、クアルコム、ブロードコム、テキサス・インスツルメンツなどの大手半導体企業が含まれています。

まとめ

SMICは、中国の半導体産業を牽引する企業として、その技術力と成長が注目されています。米中関係や技術制裁の影響を受けながらも、先端技術の開発を続けており、世界的な半導体サプライチェーンにおいて重要な役割を担っています。

公式ウェブサイト

もう一度検索