アメリカ合衆国憲法修正第25条

アメリカ合衆国憲法修正第25条

アメリカ合衆国憲法修正第25条（通称：修正第25条）は、大統領の職務の空席や職務不能に関する手続きを明確に定義した法律です。この修正条項は、1965年に提案され、1967年に批准・発効しました。修正第25条は、主に大統領の権限を副大統領が引き継ぐ際の手続きを規定しています。

1. 提案と批准

修正第25条の提案は1965年に行われ、上院と下院で可決された後、各州に提出されました。最初にウィスコンシン州とネブラスカ州が批准し、最終的には37州が修正条項を承認しました。1967年2月10日に批准が完了し、憲法の一部として正式に施行されました。

2. 大統領の空席

修正第25条の第1節では、大統領が職務を果たせない場合、副大統領が大統領の権限を引き継ぐことが明記されています。これは、1841年にジョン・タイラーがウィリアム・ハリソンの死後に大統領として就任した先例を踏まえたものです。ここでの重要な点は、空席時に副大統領が大統領としての職務を完全に引き継ぐという明確なルールが示されたことです。

3. 副大統領の空席

修正第25条の第2節は、副大統領職に空席が生じた場合の対応を規定しています。大統領は新たな副大統領を指名し、議会の承認を得ることでその空席を埋めることができます。この規定は、副大統領職の空席が長期化する事態に対処するためのものです。

4. 大統領の職務不能

修正第25条の第3節と第4節では、年間に大統領の職務不能の判断基準が示されています。これまでの歴史の中で、実際に職務不能となった大統領の例として、エイブラハム・リンカーンやジェームス・ガーフィールド、あるいはウッドロウ・ウィルソンなどが挙げられます。修正第25条第3節では、大統領が自発的に職務を離れる場合、書面によって副大統領にその旨を通知することが定められています。

5. 自発的でない引退

修正第25条の第4節は、これまで実施されたことがないが、大統領が自らの意思で職務を遂行できない場合の対処法です。副大統領と閣僚の過半数が大統領の職務不能を宣言すると、職務が副大統領に移行します。これにより、国の安全や安定を保障します。

6. 実施の事例

修正第25条は、その成立以降7回にわたって発動されています。ジェラルド・フォードが副大統領としての役割から大統領に昇進した事例や、ロナルド・レーガン、ジョージ・W・ブッシュ大統領が権限を副大統領に一時的に委譲した事例などが含まれます。また、2021年にはカマラ・ハリスが短期間ながらアメリカ初の女性大統領代行として権限を担ったことが話題になりました。

7. 検討事例

修正第25条第4節の適用が検討されたケースも数多く存在します。1981年のレーガン大統領暗殺未遂事件や、トランプ大統領のFBI長官解任に関する懸念などがその例です。ただし、第4節が実施されることはなく、多くの場合この修正条項の適用の可能性が議論されるに留まりました。

8. 文化的影響

修正第25条は、テレビドラマや映画の中でも取り上げられています。特に『24 -TWENTY FOUR-』や『ザ・ホワイトハウス』などでは、政治的情勢に基づくドラマが展開され、修正条項の意義が描かれています。これにより、一般市民の認知度も高まることとなりました。

修正第25条は、大統領の権限移譲や職務不能に関する法的枠組みを提供する重要な役割を果たしています。それにより、アメリカの政治の安定性と連続性が保たれています。

もう一度検索