アメリカ国立科学財団

アメリカ国立科学財団（NSF）について

アメリカ国立科学財団（National Science Foundation、略称 NSF）は、1950年に設立されたアメリカ合衆国の連邦機関で、主に科学と技術の振興を目的としています。この組織は数学、コンピュータ科学、社会科学など様々な分野をカバーしており、医学分野に関してはアメリカ国立衛生研究所（NIH）がその役割を担っています。

NSFは、年間70億ドル以上の予算を持ち、アメリカの大学での基礎研究に対する連邦政府の支援の約20%を担当しています。しかし、他の研究機関とは異なり、NSFは自前の研究所を持たず、外部の大学や研究機関に研究資金を交付することに特化しています。毎年約10,000件ものグラントを交付し、その多くが個人もしくは小規模なグループに向けられています。また、研究センターや設備の整備に対する資金提供も行っており、その成果として160以上のノーベル賞を輩出しています。

支援対象の研究

NSFの支援対象には、電波望遠鏡や南極観測所、超高速ネットワーク、海洋観測船、重力波観測装置などの大型研究設備が含まれます。また、教育対象としては、幼児教育から大学院教育に至るまで、科学と工学に関する多様な事業が支援されています。NSFは、研究が教育と結びつくことを求めており、その結果、次世代の科学者や技術者の育成が期待されています。

組織構成

NSFの組織は、理事長（Director）と副理事長（Deputy Director）が大統領によって任命され、上院の承認を得る形で構成されています。NSF内には、予算や資金管理を担当する「オフィスオブバジェット、ファイナンスおよび賞管理」と、内部データベースや電子システムの整備を行う「オフィスオブ情報リソース管理」といった管理部門があります。また、NSFの基本的な施策を決定する役割を持つ「ナショナルサイエンスボード（NSB）」があり、ここには優れた研究者が24名参加しています。

研究の評価基準

NSFが毎年受ける研究提案は約40,000件で、その中から高評価を得た約10,000件に資金が提供されます。これらの提案は関連分野の専門家が参加する評価会議によって審査され、提案者と審査員の間で利害関係がないように選ばれます。また、NSFでは「知的メリット」と「幅広い影響」という2つの基準が設けられており、研究の独自性や新たな知見の創出、社会的な意義が評価の重要な要素とされています。

より広い影響

NSFの研究の成果は、単に学問的な進展にとどまらず、教育や技術進歩に寄与し、特に少数派の研究参加を促進することにも力を入れています。これにより、科学的な理解の普及や、地域社会における利益の還元が期待されています。

賞と関連機関

NSFはアメリカ国家科学賞やアラン・T・ウォーターマン賞、ヴァネヴァー・ブッシュ賞など、数々の顕彰を行っています。また、同財団が支援する研究機関やプロジェクトには、全米科学財団ネットワークやアスペン物理学研究所などがあります。NSFはアメリカにおける科学研究と技術の発展において重要な役割を果たし続けています。

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