アメリカ微生物学会

アメリカ微生物学会 (ASM)

アメリカ微生物学会（American Society for Microbiology、略称: ASM）は、1899年に設立されたアメリカ合衆国を拠点とする微生物学分野の専門組織です。当初はアメリカ細菌学会（Society of American Bacteriologists）として発足しました。細菌やウイルスをはじめとする多岐にわたる微生物に関する研究者、教育に携わる人々、そして医療従事者など、幅広い専門家を対象としています。生命科学分野における世界有数の大規模な学会の一つとして広く知られています。

歴史

本学会の歴史は、1899年にコネチカット州ニューヘイブンで開催された最初の会議に始まります。この会議で、ウィリアム・トンプソン・セジウィック氏が初代の学会長に選出されました。発足当初の名称はアメリカ細菌学会でした。翌1900年からは会員からの会費徴収が開始され、当時の会費は1ドルと定められていました。学会の名称変更の議論は長らく行われ、1958年に評議会で現在の名称であるアメリカ微生物学会への変更が提案され承認されました。この提案に対する会員投票が1959年に実施され、その結果を受けて1960年に正式にアメリカ微生物学会へと改称されました。本学会は数多くの権威ある学術誌を発行していますが、2016年以降、ジャーナルの影響力を示す指標であるインパクトファクターの数値を、発行する全てのジャーナルおよび公式ウェブサイト上から公表しない方針を採っています。

会員

アメリカ微生物学会には、研究者、教育関係者、医療従事者を含む30,000人を超える会員が所属しています。この会員規模は、生命科学分野の学会としては世界でも最大級であるとされています。多様な専門性を持つ会員が集まることで、微生物学に関する幅広い知見の交流と発展が促進されています。

学術集会

学会が主催する最大の学術集会は、現在「ASM Microbe」の名称で開催されています（2020年時点の情報）。これは微生物学分野の専門家にとって最も重要な集まりの一つと位置づけられており、通常1万人近くの研究者が参加します。集会期間中には、約2,000題に及ぶポスター発表が行われ、最新の研究成果が活発に共有されます。また、研究者だけでなく、一般市民も参加可能なセッションが設けられるなど、学術の普及にも力を入れています。

学会誌

アメリカ微生物学会は、微生物学分野における重要な学術情報を発信する多数の専門誌を発行しています。最初の学会誌である『Journal of Bacteriology』は1916年に創刊されました。その後、1967年には『Journal of Virology』が加わるなど、出版活動を拡大してきました。2015年には、初の完全オープンアクセスジャーナルとなる『mBio』の発行を開始しました。2020年時点において、本学会が発行する主な学術誌には以下のようなものがあります。

Antimicrobial Agents and Chemotherapy
Applied and Environmental Microbiology
Clinical Microbiology Reviews
EcoSal Plus
Infection and Immunity
Journal of Bacteriology
Journal of Clinical Microbiology
Journal of Microbiology & Biology Education
Journal of Virology
mBio
Microbiology and Molecular Biology Reviews
Microbiology Resource Announcements
Microbiology Spectrum
Molecular and Cellular Biology
mSphere
mSystems

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