アメリカ統合戦力軍(USJFCOM)
アメリカ統合戦力軍、略称USJFCOMは、
アメリカ軍内の統合軍の一つとして
1999年に設立されました。この存在は、古くからの大西洋軍を改編したものであり、特定の地域を担当しない機能別の統合軍としての役割を果たしていました。司令部は
バージニア州ノーフォークに位置し、発足当初からその目的は
アメリカ軍の訓練・教育の向上を図り、共同戦術や指揮方法、装備の試験実用化を通じて、四軍の相互運用性や統合運用能力の強化に寄与することでした。
機能と役割
USJFCOMは、最精鋭の緊急展開部隊やいくつかの
予備役部隊を指揮し、
予備役の訓練や即応兵力の確保を主な使命としました。2001年から2011年の間、約2億5,000万ドルの予算で動き、最大で5,800人の人員を抱える組織へと成長しました。これにより、アメリカ本土に展開する多くの部隊がUSJFCOMの指揮下に置かれ、訓練を受け、必要に応じて他の統合軍への支援が行われる体制が確立されました。
設立の背景
USJFCOMの設立は、冷戦終結後の
アメリカ軍の再編成と強化を目的としており、特に共同作戦における効率性を高めることが求められました。当時、陸軍、海軍、空軍、海兵隊の四軍がバラバラに運用されていたため、UJSJFCOMの設置は、共同運用に特化した改革の中核となりました。特に、陸・海・空の部隊が相互に連携し、高度な訓練を施すことで、戦力の強化と迅速な展開が可能になります。
廃止の経緯
しかし、2010年8月、アメリカ政府は防衛関連の歳出を大幅に削減する計画を発表し、その第一段階としてUSJFCOMの廃止を決定しました。これは、国防費の見直しとして行われ、当時の国防長官
ロバート・ゲーツの主導により実施されました。最終的に2011年8月3日に
バージニア州サフォークにて閉鎖されるまで、USJFCOMは多くの軍務を遂行しましたが、その中の幾つかの重要な任務は、統合参謀本部やその他の部隊へと移管されました。
歴代司令官とその影響
USJFCOMの指揮官には、代々位の高い陸軍や海軍の
大将が任命されていました。その中でも特に著名な司令官には、
北大西洋条約機構(NATO)の司令官を歴任したウィリアム・カーナン陸軍
大将や、後に国防長官となった
ジェームズ・マティス海兵隊
大将が含まれています。彼らはUSJFCOMを通じて、
アメリカ軍の作戦能力の向上に努め、様々な改革を主導しました。
結論
アメリカ統合戦力軍は、
アメリカ軍の効率的な運用を目指した重要な試みでしたが、経済状況の変化や政策の見直しにより、役割を終えることとなりました。その legacyは、現在の
アメリカ軍の構造や運用戦略に多くの影響を与えています。