ジェームズ・マティス

ジェームズ・ノーマン・マティス

ジェームズ・ノーマン・マティス（1950年9月8日生まれ）は、アメリカ合衆国の著名な軍人および政治家であり、そのキャリアの中で多数の重要な役割を担ってきました。彼はアメリカ海兵隊の大将の階級を持ち、統合戦略軍司令官、NATO変革連合軍最高司令官、中央軍司令官などを歴任した経歴を持ちます。特にドナルド・トランプ政権下では、第26代アメリカ合衆国国防長官としても知られています。

軍歴と功績

マティスは湾岸戦争において第1海兵大隊長として指揮を執り、「不朽の自由作戦」では第1海兵遠征旅団長として、さらにはイラク戦争ではアメリカ軍第1海兵師団長としてそれぞれ出征し、多大な成果を上げました。2007年には海兵隊大将に昇進し、その後3年間にわたり統合戦力軍司令官を務め、2007年から2009年にはNATO変革連合軍最高司令官を兼任しました。

マティスは2010年に中央軍司令官に任命され、2013年に海兵隊を退役しました。このように彼の軍歴は非常に華々しいもので、多くの軍事作戦での実績が彼の名声を高める要因となりました。

渾名とその由来

私生活では戦史や戦略の研究に多くの時間を費やし、結婚や子供のいないマティスは「戦う修道士（Warrior Monk）」と称されています。また、彼の部下からは「荒くれ者、狂犬（Mad Dog）」とも呼ばれており、これは彼の戦闘指揮官としての実績からきています。マティスの強い指導力と粘り強い姿勢は、彼の部下に深い信頼を寄せられ、その結果、様々な渾名が生まれました。特にアメリカの報道機関では「マッド・ドッグ」という呼称が頻繁に使われ、彼自身の強さを象徴する言葉となっています。

生い立ちと教育

1950年、ワシントン州プルマンに生まれたマティスは、商船隊に所属していた父ジョン・ウェスト・マティスと、南アフリカで軍務に就いていた母ルシールの間に育ちました。海兵隊の予備員名簿に登録されたのは1969年で、セントラル・ワシントン大学にて歴史学の教養学士を取得。1972年には海兵隊少尉に任官し、本格的に軍人としての道を歩み始めました。

重要な発言や行動

マティスは部隊指揮官としてだけでなく、時に論争を呼ぶ発言でも知られています。彼は海兵隊の総司令官として、多くの過激な発言を行い、その中には敵に対する厳しい見解も含まれていました。この姿勢が、彼の指導者としての特異性を際立たせています。特に彼は、イラクでの任務中に部下に対し「イラク市民に対して怒りや嫌悪を示すことは、敵にとっての勝利になる」と教え、冷静さを保つよう促しました。

国防長官としての役割

2017年1月20日にトランプ政権下で国防長官に就任したマティスは、初めて海兵隊出身者としてこのポジションに就いた人物となります。就任後、彼はNATOへの支持を強調しつつも、アメリカの国益を最優先に考える姿勢を貫きました。特に、北朝鮮やロシアに対する政策においては、従来の同盟関係を重視する意見を持ちました。

しかし、トランプ大統領との意見の相違が増し、最終的には2018年12月に国防長官を辞任することとなります。彼の辞任は、トランプがISILとの戦争に勝利した宣言のもとでのアメリカ軍撤退に対する反発から発生したものでした。辞任の際、彼は「同盟国に敬意を払うべき」とする主張を行い、トランプとの対立を鮮明にしました。

退任後の時代

マティスは退任後もその影響力を保ち続け、様々なメディアや公の場で意見を表明しています。特に、反人種差別デモにおいて、トランプ大統領の軍の使用の提案に対し強い批判を行うなど、その姿勢を貫いています。彼の持つ信念と経験は、今もなおアメリカの安全保障政策において重要な役割を果たし続けています。彼の著作も評価されており、その中には指導者としての哲学や経験が詰まっています。

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