アメリカ聖書協会

アメリカ聖書協会（ABS）は、1816年の設立以来、聖書の翻訳、出版、そして世界への配布を主な活動としてきた団体です。明治時代には日本にも進出し、「米国聖書会社」として活動し、日本聖書協会の設立にも貢献しています。

ABSは、その活動において多大な成果を上げてきました。例えば、2000年から2001年にかけては、411万3106冊の聖書と832万2112部もの新約聖書を配布。Good News Translation (GNT) や Contemporary English Version (CEV) といった翻訳版を用いて、世界中の人々に聖書を届けています。2015年には本部をフィラデルフィアに移転させ、活動を継続しています。

特に中国宣教への貢献は顕著です。1833年には、宣教師イライジャ・ブリッジマン博士に3,000ドルの資金援助を行い、漢訳聖書の事業を支援しました。その後も継続的な支援を行い、1934年までに289万7383ドルを費やし、約7000万巻の漢訳聖書を中国で配布しました。このように、ABSは豊富な資金力を背景に、英国外国聖書協会などとも協力し、世界各国で聖書の翻訳と出版を主導してきたのです。

ABSは、聖書に関する膨大なコレクションも保有しています。ニューヨーク・マンハッタンにあった本部には、グーテンベルク聖書（一部を厳重に保管）をはじめ、世界各国、地域から集められた様々な言語、時代の聖書が収蔵されていました。そのコレクションは、バチカン図書館に次ぐ規模を誇り、世界第二位の宗教書籍コレクションとして知られています。さらに、南アメリカにある保管所には10万種類もの聖書が保管されていると言われています。

近年では、2021年にフィラデルフィアのインディペンデンスモールに「Faith and Liberty Discovery Center」という展示施設を開設しました。この施設では、ABSの歴史や活動、そして聖書コレクションの一部を一般公開し、多くの人に聖書の世界に触れる機会を提供しています。

このように、アメリカ聖書協会は、設立以来200年以上にわたって、聖書を世界中に広める活動を精力的に行ってきました。その活動は、単なる聖書の普及にとどまらず、世界各地の文化や社会に大きな影響を与えてきたと言えるでしょう。今後も、世界の人々に聖書の言葉が届けられるよう、ABSの活動は続いていくことでしょう。

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