アモーレ 〜はげしく愛して〜

桂銀淑の楽曲『アモーレ 〜はげしく愛して〜』は、1993年4月14日にシングルとして世に送り出されました。この作品は、彼女にとって通算11枚目にあたるシングルであり、東芝EMIから発売されています。

この楽曲の制作陣には、日本の歌謡界を牽引してきた顔ぶれが集結しました。作詞を手掛けたのは、多岐にわたるジャンルで多くの名曲を生み出してきた阿久悠氏です。作曲は、桂銀淑の過去のヒット曲も手掛けている浜圭介氏。そして編曲は、その才能で楽曲に豊かな彩りを添える若草恵氏が担当しています。

作家陣との関わりにおいて特筆すべき点がいくつかあります。

まず、作曲の浜圭介氏とは、1991年にリリースされたシングル「東京HOLD ME TIGHT」以来、約2年ぶりの共作となりました。しかしながら、『アモーレ 〜はげしく愛して〜』の発表後、再び浜圭介氏作曲のシングル作品からは一時的に遠ざかることになります。次に桂銀淑が浜氏の楽曲をシングルとして歌うのは、1998年に発売された「人魚伝説」まで待たなければなりませんでした。これは、桂銀淑と浜圭介氏という稀代の作曲家との間における、興味深いつながりの軌跡を示しています。

一方、作詞の阿久悠氏にとっては、この『アモーレ 〜はげしく愛して〜』が、桂銀淑の楽曲に初めて詞を提供した記念すべき作品となりました。この最初のコラボレーションは成功を収め、同年9月に発表された同名のオリジナル・アルバム『アモーレ 〜はげしく愛して〜』では、収録曲全て、全12曲の作詞を阿久悠氏が担当するという密接な関係へと発展しました。このアルバムもヒットし、阿久悠氏と桂銀淑のコンビは、短期間ながらも印象的な作品群を残すことになります。

『アモーレ 〜はげしく愛して〜』という楽曲そのものは、情熱的かつドラマティックな展開が最大の魅力です。感情の起伏を表現するような壮大なメロディーとアレンジは、聴く者の心に強く訴えかけます。その高い音楽性と表現力から、桂銀淑が開催するコンサートやディナーショーといったライブパフォーマンスでは、しばしばフィナーレを飾る楽曲、あるいはその直前の最も盛り上がる場面で歌われる重要なレパートリーとして位置づけられています。観客を惹きつけ、感動的な空間を創出する上で欠かせない一曲と言えるでしょう。

また、この楽曲はメディアを通じて広く知られる機会も得ました。特に、1993年末に放送された『第44回NHK紅白歌合戦』では、桂銀淑が6年連続出場を果たし、この『アモーレ 〜はげしく愛して〜』を披露しました。この紅白での歌唱は、シングルとして発売されたバージョンではなく、同年9月にリリースされた同名アルバムに収録されている、シングルとは異なるアレンジが施された「アルバムバージョン」が用いられたことも特筆されます。異なる表情を持つこの楽曲を、多くの視聴者が目にすることになりました。

本シングルのカップリングには、「遠い汽笛」が収録されています。こちらの楽曲も、表題曲と同じく阿久悠氏が作詞、浜圭介氏が作曲、若草恵氏が編曲を担当しています。

『アモーレ 〜はげしく愛して〜』は、1993年の日本の音楽シーンにおいて、桂銀淑のキャリアの中でも重要な転換期を象徴する楽曲となりました。著名な作家陣との出会いや、ライブでの定番化、そして国民的な番組である紅白歌合戦での披露など、多角的な側面から語られる、桂銀淑の芸術活動における一里塚とも言うべき一曲です。

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