アラスカパルプ

アラスカパルプの歴史

アラスカパルプ株式会社は、日本にかつて存在していたパルプ製造会社であり、その本社は東京都千代田区丸の内にある新国際ビルヂングに位置していました。この会社は、米国アラスカ州の豊かな森林資源を活用して成長し、国内の原料不足に対処するために設立されました。しかし、現地の森林伐採に関する厳しい規制により、経営に深刻な影響を受け、最終的には特別清算に至ることとなりました。

設立から成長へ

アラスカパルプは、1953年に設立されました。当初、アラスカ州南東部には、広大なトンガス国有林が存在し、そこには開発可能面積160万ha、3億立米以上の木材が蓄積されていると見込まれていました。このため、東洋レーヨンなどの繊維メーカーや商社が注目し、アラスカパルプが設立されることとなりました。

さらに、会社はアラスカ現地で全額出資の子会社であるAlaska Lumber & Pulp Co., Inc.（ALP）を設立し、1959年にはシトカにパルプ工場を設立しました。続いて1968年には製材会社であるAlaska Wood Products（AWP）を買収し、パルプや原木の輸出を日本に対して開始しました。このように、アラスカパルプは未開発の森林資源を持つアメリカと原料不足の日本との利害が一致する中で、成長を続けました。

さらに、アラスカパルプは日米両政府から融資を受けるなど、準国策的な会社として特別な優遇を受けました。1961年からは50年間にわたる原木の長期契約を結び、1981年3月期には売上高約347億円に達し、事業のピークを迎えました。

特別清算へ向かう過程

しかし、1980年代に入ると、日本国内のパルプおよび木材製品の市況が低迷し、アラスカパルプの経営も厳しくなりました。また、環境保護の観点からアメリカも規制が強化され、1993年には原木の伐採が行えなくなり、パルプ工場と製材工場は休止状態となってしまいました。これにより、事実上アラスカパルプは廃業に追い込まれたのです。

加えて、アラスカパルプはアメリカ合衆国林野庁に対して損害賠償を求めましたが、2004年まで損害賠償請求は却下され、その理由として「債務の不履行は認めるが、損害賠償金の発生には裏付けがない」とされました。

結局、2004年6月には株主総会が開かれ、解散が決議され、同年7月13日には東京地方裁判所から特別清算の開始決定が下されました。アラスカパルプの興亡は、企業が国際的な資源を巡る問題に直面する中で、いかに環境と事業の関係が重要かを示すものとなっています。

脚注

この歴史の背景には、企業設立に尽力した笹山忠夫氏の存在があり、彼は1956年から社長を務めるなど、アラスカパルプの成長に寄与しました。他にも関連する企業としてアラビア石油が挙げられます。

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