アラパホ

アラパホ族：平原を駆けた人々の歴史と文化

アラパホ族（Arapaho）は、北米大陸に古くから居住する先住民族の一つです。彼らの歴史は、東部の森林地帯から西部の平原地帯への移動、そしてアメリカ合衆国との複雑な関係によって彩られています。

東部から平原へ：アラパホ族の移動の歴史

元々、アラパホ族はミシシッピ川より東、現在のミネソタ州北部のレッドリバーバレー一帯に住んでいました。この地で彼らはトウモロコシ、カボチャ、豆などを栽培する農耕民族として生活を営んでいました。しかし、18世紀に入ると、白人入植の波が押し寄せ、アラパホ族は故郷を離れざるを得なくなります。彼らは南西へと移動し、ノースダコタ州とサウスダコタ州に広がる平原地帯に新たな生活の場を求めました。さらに19世紀には、プラット川沿いのワイオミング州とオクラホマ州に分かれ、それぞれの地域で独自の文化を育んでいくことになります。

激動の時代：コロラド戦争とリトルビッグホーンの戦い

1863年、アメリカ合衆国政府と平原インディアンとの間でコロラド戦争が勃発しました。アラパホ族もこの戦争に巻き込まれ、1864年にはサンドクリークでシャイアン族と共に野営していたところをアメリカ陸軍の攻撃に遭い、多くの女性や子供を含む数百人もの人々が命を落としました。しかし、アラパホ族は決して屈することなく、1876年にはリトルビッグホーンの戦いにおいて、スー族やシャイアン族と共同戦線を張り、カスター中佐率いるアメリカ第七騎兵隊を打ち破るという勝利を収めました。この戦いは、アメリカ史におけるインディアン戦争の象徴的な出来事として、今も語り継がれています。

アラパホ族の文化と社会

アラパホ族は、自らを「イヌナ・イナ（我々の人）」と称しています。「アラパホー」という名前は、ポーニー族の言葉で「交易者」を意味するとも、あるいは「山から駆け下りる人々」を指すとも言われています。他の平原部族と同様に、アラパホ族は犬を食べる習慣を持っており、他の部族からは「犬食い」を意味する呼び名で呼ばれることもありました。

彼らはアルゴンキン語族に属し、移動しながらバッファローを狩猟する生活を送る一方で、アースロッジと呼ばれる住居に住み、トウモロコシなどの農耕も行っていました。このように、彼らは狩猟と農耕を組み合わせた半農型の生活様式を特徴としています。

現在のアラパホ族：二つのグループとその保留地

アラパホ族は、現在では二つのグループに分かれています。ワイオミング州とコロラド州に住む北部アラパホ族と、オクラホマ州やカンザス州西部に住む南部アラパホ族です。

アメリカ連邦政府は、ワイオミング州とオクラホマ州の二つの部族を公式に「インディアン部族」として認定しており、それぞれの部族が保留地を領有しています。

ワイオミング州西部には「ウインドリバー保留地」があり、東ショーショーニー族と共同で利用しており、ここには約3000人の北部アラパホ族が居住しています。また、オクラホマ州南部には「シャイアン・アラパホー保留地」があり、南部アラパホ族と、北部および南部シャイアン族が共同で生活を営んでいます。

外部リンク

Cheyenne-Arapaho Tribes of Oklahoma
Northern Arapaho Tribe
Arapahoe School Home Page
Northern Arapaho Business Council
The Arapaho Project
アメリカインディアン大辞典 アラパホ族

アラパホ族は、激動の歴史の中で、伝統と文化を守りながら、現代社会の中で力強く生き続けています。

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