アラビアオリックスの保護区

アラビアオリックスの保護区について

アラビアオリックスの保護区は、オマーンの中央部に広がる自然保護区で、丘陵が連なるジダット・アル・ハラシース平原に位置しています。この保護区は、絶滅したアラビアオリックスを野生に近い状態で再導入し、保護・育成する目的で設立されました。1994年にユネスコの世界遺産に登録されましたが、2007年にはその登録が抹消されるという、特異な経緯を持つ場所でもあります。

保護区の背景

アラビアオリックスは、ユニコーンのモデルにもなったと言われる美しい角を持つ動物です。しかし、その角は人間に狙われ、狩猟の影響で1972年には野生種が絶滅しました。オマーン国王カーブース・ビン＝サイードは、その復活を目指し1982年にアメリカ動植物保護協会から10頭を譲り受け、野性に返すために放し飼いで導入しました。この試みは世界でも初めてのものでした。

環境と生態系

この地域はアラビア海からの湿った風のおかげで独特の生態系が育まれ、砂漠の中にも珍しい植物が見られます。アラビアオリックスの他にも、様々な動物種が暮らしており、アラビアオオカミやアラビアガゼル、カラカルなどの特徴的な哺乳類、さらにフサエリショウノガンやラーテルなどの鳥類も生息しています。これらの生物は保護区の多様性を際立たせる要因ともなっています。

世界遺産としての役割

この保護区は生物多様性の本質的な保全に関する重要な自然生息地として、ユネスコの登録基準に基づいて世界遺産に認定されましたが、1996年に400頭に達したオリックスの個体数は、その後の密猟や管理の不十分さにより急激に減少しました。結果として、オマーン当局が保護区の面積を大幅に削減したことで、2007年に世界遺産としての顕著かつ普遍的な価値が失われたと判断され、初めて登録が抹消された物件となりました。

まとめ

アラビアオリックスの保護区は野生動物保護の重要性を再認識させる場所であり、その過去の栄光から現在の課題へと変遷する中で、自然保護の難しさを示しています。この地域の独特な生態系を守るためには、今後も継続的な努力と対策が必要です。保護区の取り組みは、絶滅の危機に瀕する種への理解を深めるとともに、人間と自然の共存について考える機会を提供しています。

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