アランデル大聖堂

アランデル大聖堂：歴史と芸術が織りなす聖域

イギリス、ウェスト・サセックス州アランデルに位置するアランデル大聖堂は、1873年に小教区教会として創建され、1965年にはアランデル・アンド・ブライトン教区の司教座聖堂となりました。現在もアランデル・アンド・ブライトン司教の司教座聖堂として重要な役割を担っています。

ハワード家と深い歴史的つながり

この大聖堂の建設には、名門ハワード家が深く関わっています。彼らはノーフォーク公とアランデル伯の称号を受け継ぎ、イングランド貴族の中でも王家に次ぐ由緒正しき家系として知られています。代々カトリックを篤く信仰し、その庇護者として歴史に名を刻んできました。1102年からアランデル城を居城としていたことからも、この地域における彼らの影響力の大きさがうかがえます。

17世紀、イングランドにおけるカトリック弾圧の時代には、多くの教会堂や大聖堂がイングランド国教会に接収されました。カトリック信徒が自由に信仰できるようになるまでには、1829年のローマ・カトリック信徒救済法を待つ必要がありました。そのような歴史的背景の中、1868年、第15代ノーフォーク公爵ヘンリー・フィッツアラン＝ハワードは、アランデル城に相応しい大聖堂の建設を決定します。

ゴシック建築の傑作

建築家ジョセフ・ハンソムによって設計された大聖堂は、ハワード家が栄華を極めた14世紀のゴシック建築様式を反映しています。ゴシック・リヴァイヴァル建築の優れた一例として、第I級指定建築物に指定されており、その荘厳な姿は多くの人の心を惹きつけます。

当初、聖母マリアと聖フィリッポ・ネリに奉献されていましたが、1971年に第20代アランデル伯爵フィリップ・ハワードが列聖され、聖遺物が聖堂内に安置されたことを受け、現在では聖母マリアと聖フィリップ・ハワードに奉献されています。

女性初の音楽監督

2002年、エリザベス・ストラトフォードがオルガニスト兼聖歌隊指揮者として就任しました。これは、イギリスの大聖堂において女性が音楽監督を務めた最初の事例として歴史に刻まれています。彼女はブラッドフォードのセント・ジョセフ・カトリック・カレッジ、ハダースフィールド大学、リーズ大学と、音楽の道を歩み続け、現在はブライトン・カレッジでピアノ教師としても活躍しています。

多様な活動の舞台

アランデル大聖堂は、宗教的な儀式以外にも、様々なイベントの舞台として利用されています。ソプラノユニットのリベラがミュージックビデオの撮影に使用した他、コンサートも数多く開催されており、地域文化の中心的な存在となっています。

アランデル大聖堂は、その壮麗な建築、歴史的な背景、そして現代へと続く活気ある活動を通して、訪れる人々に深い感動と静寂のひとときを提供し続けています。歴史と芸術、そして信仰が調和するこの聖域は、イギリスの観光地としても注目に値する存在です。

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