アラン・ガルシア

アラン・ガルシア：ペルーの二期にわたる大統領

アラン・ガブリエル・ルドウィグ・ガルシア・ペレス（1949年5月23日 - 2019年4月17日）は、ペルーの政治家であり、同国の大統領を2度（1985-1990、2006-2011）歴任しました。アメリカ革命人民同盟 (APRA) の書記長、党首も務めました。

生涯

リマの中流家庭に生まれ、幼い頃からAPRAに関わって育ちました。APRA創設者のビクトル・ラウル・アヤ・デ・ラ・トーレから教えを受けたこともあります。大学では法学、社会学を修め、1978年に帰国後、制憲議会議員に選出され、政治家としてのキャリアをスタートさせました。

大統領としての軌跡

1期目 (1985-1990)

1985年、36歳という若さでペルー史上最年少の大統領に就任しました。APRAにとっても初の政権獲得となりました。ガルシアは当初、「ペルーのケネディ」と呼ばれ高い人気を博しましたが、深刻な経済危機に直面し、「銀行の国有化」や「対外債務の返済凍結」といった政策を打ち出しました。しかし、IMFとの対立を招き、ペルーは投資不適格国となり、経済は破綻寸前まで追い込まれました。また、ガルシア自身の汚職疑惑も浮上しました。

亡命

任期満了後、アルベルト・フジモリが大統領に就任すると、終身上院議員となりました。しかし、フジモリ政権と対立し、自己クーデター後には訴追を受け、コロンビア、そしてフランスへと亡命することになりました。

2期目 (2006-2011)

フジモリ失脚後、2001年に帰国。同年の大統領選挙ではアレハンドロ・トレドに敗れましたが、2006年の大統領選挙で再び当選を果たし、2度目の大統領に就任しました。1期目の反省から、閣僚へのAPRA党員の起用を抑制しました。

2期目には、7歳未満の子供への性的暴行殺人犯に対する死刑適用を公約に掲げ、法案を提出しました。また、アメリカとの関係を強化し、ベネズエラやボリビアを批判しました。

2011年6月には、第二次世界大戦中に日系移民を強制収容したことについて、公式に謝罪しました。

憲法の規定により再選は禁止されていたため、2011年に退任しました。

資源開発と先住民との対立

2期目には、米国などとの自由貿易協定を背景に、先住民の居住地の資源開発を促進する法案を制定しました。これに対し、先住民による抗議行動が激化し、ガルシア政権は警察部隊を投入して弾圧しました。この衝突により多数の死傷者が出て、政権への批判が高まりました。

オペレーション・カー・ウォッシュと自殺

2014年、ブラジルの建設会社オデブレヒト社による南米の汚職事件に関与した疑いが浮上し、ガルシアもその捜査対象となりました。2期目の大統領在任中にリマ市内の電車工事をめぐる裏金を受け取った疑惑が持ち上がり、2019年4月17日、逮捕直前に拳銃で自殺しました。

遺産

アラン・ガルシアは、ペルーの政治史において、賛否両論のある人物です。若きカリスマとして国民の期待を集めましたが、経済政策の失敗や汚職疑惑により、その評価は大きく揺らぎました。彼の死は、ペルー社会に深い傷跡を残しました。

関連項目

* 死刑存廃問題

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