アリシア・バウムガードナー

アリシア・バウムガードナー（Alycia Baumgardner）は、1994年5月24日にアメリカ合衆国オハイオ州フリーモントで生まれた女子プロボクサーです。アフリカ系アメリカ人の父と、ドイツ、日本、韓国にルーツを持つ母の間に生まれました。現在はスーパーバッド・ボクシング・ジムに所属し、女子世界スーパーフェザー級の主要4団体統一王者として知られています。

初期キャリアとタイトル獲得

バウムガードナーのプロキャリアは2017年5月4日に始まりました。デビュー戦から4戦連続で初回TKO勝利を収める圧倒的なスタートを切ります。プロ5戦目となる2018年2月10日には、ニディア・フェリシアーノとWBC女子インターナショナル王座決定戦で対戦し、判定勝利でプロ初タイトルを獲得しました。しかし、その後のノンタイトル戦を挟んで、クリスティーナ・リナルダトゥとの対戦でプロ初黒星を喫し、インターナショナル王座を手放すこととなりました。この敗戦後、バウムガードナーは再起を果たし、再び4連勝を記録します。

世界王座戴冠と統一への道

2021年12月、バウムガードナーは著名なプロモーションであるマッチルーム・ボクシングと契約を結びます。同月14日には、テリー・ハーパーが保持していたWBCおよびIBO女子世界スーパーフェザー級王座に挑戦し、4回KOで勝利。見事に世界王座を獲得しました。2022年4月16日にはマンチェスター・アリーナでエディス・マティセを相手に初防衛戦を行い、100-90のフルマーク3-0の判定で防衛に成功します。

主要4団体統一を目指し、2022年9月10日にロンドンのO2アリーナでWBO・IBF王者ミカエラ・メイヤーとのビッグマッチが予定されていましたが、エリザベス女王の崩御により延期。試合は10月15日に行われ、バウムガードナーは2-1のスプリットデシジョンでメイヤーから勝利を収め、彼女にプロ初黒星をつけるとともにWBC・IBO・WBO・IBFの4団体統一王者となりました。

5団体統一とリベンジ

2023年2月4日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン・シアターにて、崔賢美の休養王者化に伴い設置されたWBA王座決定戦を兼ね、WBC・IBO・WBO・IBF王座の防衛戦として元WBC暫定王者のエレム・メクハルドと対戦します。この試合で3回に2度のダウンを奪うなど優位に進め、3-0の判定で勝利。これにより、主要5団体（WBA・WBC・IBF・WBO・リングマガジン）の統一王者に輝きました。

同年7月15日には、ミシガン州デトロイトでクリスティーナ・リナルダトゥとの5年ぶりの再戦に臨みました。5年前に唯一の黒星を喫した相手とのリベンジマッチは、10回フルラウンドの戦いとなり、バウムガードナーが3-0の判定で勝利。見事に借りを返し、5団体統一王座の防衛に成功しました。

薬物検査問題と復帰戦

しかし、リナルダトゥ戦の直後に薬物検査の問題が浮上します。試合前の7月12日に実施された検査で、禁止薬物であるメステロロンとメテノロンアセタートの代謝物に陽性反応を示していたことが8月16日に報じられました。WBCは詳細な調査を行った結果、2024年1月15日に、バウムガードナーが意図的に禁止薬物を摂取したという明確な証拠は確認されなかったと発表。検査日から1年間（2024年7月12日まで）の保護観察処分と定期的なドーピング検査の受検を義務付ける一方、WBC王座は剥奪せず保持を認めました。これに対し、ボクシング・コミッション協会は一時的な出場停止処分を科しました。

出場停止処分明けとなる2024年9月27日、バウムガードナーはWBA・WBC女子世界スーパーフェザー級1位のデルフィーヌ・ペルスーンを相手に4団体女子世界スーパーフェザー級タイトルマッチとしてリングに復帰しました。当初はWBC王座のみを賭ける予定でしたが、試合直前にWBA、IBF、WBOもタイトルマッチとして承認しました。しかし、試合は4回終盤、偶然のバッティングによりペルスーンが右眉を深くカットし、大量出血のためドクターストップ。試合は無効試合という残念な形で終了しました。

プロ通算戦績は17戦15勝（7KO）1敗1無効試合です。これまでにWBC女子インターナショナル王座、WBC・IBO・WBO・IBF・WBA女子世界スーパーフェザー級王座、リングマガジン女子世界スーパーフェザー級王座を獲得しています。

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