アリストブロス2世

アリストブロス2世の生涯

アリストブロス2世（紀元前? - 紀元前49年）は、古代イスラエルのハスモン朝において、王及び大祭司として知られる人物でした。彼はアレクサンドロス・ヤンナイオスとサロメ・アレクサンドラを両親に持ち、兄はヨハネ・ヒルカノス2世でした。兄が気弱であるのに対し、アリストブロスは野心的で大胆な性格をもっていました。

政権の掌握

サロメが王座にいた時、ファリサイ派が勢力を強めていました。この背景の中で、アリストブロスは反ファリサイ派の手助けをし、特定の地域の守備を彼らに任せることに成功します。やがて、母の容体が悪化し、アリストブロスは権力を握るためにアガバ要塞に逃れ、反乱を起こします。母親が亡くなると、兄ヨハネ・ヒルカノス2世は王位に就きますが、アリストブロスはエリコ近くでの戦闘で兄を打ち破ります。

紀元前66年、ヨハネは捕虜にしていたアリストブロスの家族の命と引き換えに退位を余儀なくされ、アリストブロス2世が新たに王となりました。この後、ヒルカノス2世は静かな隠遁生活を求めましたが、その部下であるイドマヤ人のアンティパトロスが対立を煽り、再び内戦が勃発します。

ローマとの対立

紀元前63年、ローマの将軍ポンペイウスがシリア征服後、ユダヤへの進出を狙います。アリストブロス2世とヒルカノス2世は援助を求めますが、アリストブロスがポンペイウスを軽視したため、結果としてポンペイウスはヒルカノス2世を支援します。アリストブロスは貢納金の支払いを約束しましたが、実際には支払わず、ポンペイウスに捕まってしまいます。

ポンペイウス率いるローマ軍は、ヒルカノス派の手助けを受けてエルサレムを攻囲し、3か月後に占領します。この際、ユダヤ人同士の激しい争いが展開され、ポンペイウスは神殿の聖所に無断で立ち入るという事件もありました。アリストブロス2世は、捕虜として捕らえられます。

脱出と最期

紀元前57年、アリストブロス2世は脱獄に成功し、支持者を集めてアレクサンドレイオンやマカイロス要塞に拠点を置きます。しかし、この反乱もローマに鎮圧され、最終的にはアウルス・ガビニウスによってローマに送還され、幽閉されます。紀元前49年、カエサルの手により解放されるものの、途中でポンペイウス派の手によって毒殺されてしまいました。彼の息子アレクサンドロスもまた、別の支持者と共に殺害されます。

アリストブロスの息子、アンティゴノスは後にパルティアの支援を受けて王座を奪取しますが、ヒルカノス2世派のヘロデに敗れ、最終的には処刑されます。こうしてハスモン朝は断絶し、ヘロデがユダヤの王となりヘロデ朝が成立します。アリストブロスの血脈は続き、孫にあたる娘マリアムネ1世はヘロデ大王の妻となりますが、一族は悲劇的な運命を辿ることになります。

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