アリソン T56

アリソン T56 ターボプロップエンジン

アリソン T56は、単軸モジュラー設計による14段の軸流圧縮機を搭載した軍用ターボプロップエンジンです。このエンジンは4段のタービンによって駆動され、軍用機や民間機に幅広く利用されています。1954年にアリソン・エンジン社によってC-130輸送機用に開発されて以来、18,000基以上が製造されており、累計で200万時間以上の飛行時間を記録しています。現在は、アリソン社を傘下に持つロールス・ロイス・ホールディングスによって生産されています。

設計と開発の経緯

T56ターボシャフトエンジンの設計は、アリソン社のT38シリーズに由来しています。1954年に初めてB-17飛行試験機に搭載され、その後、C-130ハーキュリーズやP-3オライオン、E-2ホークアイなど、多くの航空機に利用されました。特に民間機でも、ロッキードエレクトラやコンベア580に装備された501-Dシリーズが知られています。

T56の初期開発では、3,750 shpの出力を目指していましたが、最初の試作機では3,000 hpしか出力できませんでした。さらに、初の地上試験ではわずか6.5時間でエンジンが破損し、再設計が必要となりました。再設計を経た結果、圧縮比と運転温度の改善が果たされ、最終的には性能が向上しました。

技術仕様

T56エンジンは、14段の圧縮機と6基の円筒直流燃焼器、4段のタービンで構成され、使用燃料はJP8です。全長は146.1インチ（3,711mm）で、乾燥重量は1,940ポンド（880kg）です。最新のT56-A-427型では、出力が5,250 shp、圧縮比は12:1に達し、高い効率を実現しています。

エンジンは約750 lbsの推力を発生させる能力があります。また、海軍の巡洋艦や駆逐艦の発電用、さらにはジェットフォイルの主機としても使用されている501K型エンジンなど、派生型も豊富です。

改良と最新技術

2013年には、T56エンジンの燃料効率と運転温度の改善による改良計画が提案され、これにより空軍は費用削減と飛行時間の延長を期待しています。また、C-130Jスーパーハーキュリーズでは、FADEC（全デジタルエンジン制御）を用いるロールス・ロイス AE 2100エンジンに置き換えられています。

アリソン T56は、設計から今日にかけて長寿命で改良を重ねており、その信頼性と性能から多くの航空機に搭載されています。今後の技術革新と運用においても、重要な役割を果たすことが期待されています。

備考

アリソン T56は、その歴史的な背景や技術的な進化についてさまざまな派生型が存在し、軍用機から民間機に至るまで幅広い用途で活躍しています。航空機エンジンの一つの金字塔として、航空史にその名を刻み続けるでしょう。

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