アリゾナ時間

アリゾナ時間 (Arizona Time)

概要

アリゾナ時間とは、アメリカ合衆国アリゾナ州内で用いられている標準時体系を総称する言葉です。同州では、合衆国運輸省が定める基準に基づき、主に山岳部標準時（Mountain Standard Time; MST）が採用されています。この標準時は、協定世界時（UTC）から7時間遅れたタイムゾーン（UTC-7）に相当します。しかし、アメリカ本土の大部分の州が夏時間（Daylight Saving Time; DST）を実施する中で、アリゾナ州の大部分はこれを採用しないという特異な性質を持ちます。さらに、州内の一部のインディアン保留地では夏時間の扱いが異なるため、州全体で統一された時間制度ではありません。

標準時の採用と夏時間の不実施

アリゾナ州の多くの地域では、年間を通じて山岳部標準時（MST、UTC-7）が適用されています。アメリカの他の多くの州が夏期に時計を1時間進める夏時間（DST）に移行するのに対し、アリゾナ州の大部分ではこのDSTを実施しません。したがって、アリゾナ州本土では一年を通してタイムゾーンはUTC-7のままです。夏期には、山岳部夏時間（MDT、UTC-6）を採用している隣接州との間に1時間の時差が生じます。

特例地域

アリゾナ州の夏時間不実施規則には、重要な例外が存在します。

ナバホ・ネイション

州北東部に広がる広大なインディアン保留地、ナバホ・ネイションでは、アリゾナ州本体とは異なり夏時間が実施されます。ナバホ・ネイションはアリゾナ州のほか、ユタ州やニューメキシコ州にもまたがっており、これらの隣接する州が夏時間を採用していることから、保留地全体の時間制度の整合性を保つために夏時間が導入されていると考えられています。ナバホ・ネイションの夏時間期間中（通常は3月第2日曜日から11月第1日曜日まで）は、タイムゾーンが山岳部夏時間（MDT、UTC-6）に移行します。

ホピ居留地

さらに複雑な状況を生み出しているのが、ナバホ・ネイションの領域に完全に囲まれて存在するホピ居留地です。ホピ居留地は、周囲のナバホ・ネイションが夏時間を実施しているにもかかわらず、アリゾナ州本体の規則に従い、年間を通じて夏時間を使用しません。したがって、ホピ居留地のタイムゾーンは常に山岳部標準時（MST、UTC-7）です。このため、夏時間期間中には、ホピ居留地と周囲のナバホ・ネイションとの間で1時間の時差が発生するという独特な状況が生じます。ホピ居留地を訪れる旅行者や、保留地間を移動する人々はこの時間差に注意する必要があります。

タイムゾーンデータベースにおける扱い

アリゾナ州におけるこのような複雑な時間制度は、コンピュータのタイムゾーン設定などにも影響を与えています。世界中のタイムゾーン情報を標準化して提供するtz databaseでは、アリゾナ州は夏時間の実施・不実施によって区別される複数のゾーンとして定義されています。夏時間を実施しない大部分の地域とホピ居留地、そして夏時間を実施するナバホ・ネイションの区域が異なるタイムゾーンとして扱われています。

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