協定世界時

協定世界時（UTC）

協定世界時（コーディネイテッド・ユニバーサル・タイム、UTC）は、国際原子時（TAI）とUT1世界時をもとに構築された標準的な時刻システムです。UTCは、各国の標準時の基準として広く使用されており、特に日本標準時（JST）はUTCに9時間を加えたものである点から、その重要性をうかがえます。

概要

UTCは、国際度量衡局（BIPM）の管理の下、国際地球回転観測事業（IERS）の協力を受けて維持されている時刻の枠組みです。このシステムは、世界各地での標準周波数や報時信号の基盤となっており、原子時系の計測で用いる国際単位系（SI）の秒を基に構築されています。ただし、UTCとTAIの間には整数秒の差があります。この差を調整するために、閏秒が挿入または削除されます。この閏秒の追加や削除により、UTCとUT1の差は、国際地球回転・基準系事業のウェブサイトで確認することができます。

名称と略称

協定世界時の略称はUTCであり、英語では「Coordinated Universal Time」、フランス語では「Temps Universel Coordonné」と表現されます。異なる言語で異なる表記があるため、国際電気通信連合（ITU）は共通の略称としてUTCを定めています。この略称は、既存の世界時に基づくUT0やUT1とも整合しています。

同義語と利用

UTCは、それぞれの分野でGMTやZなどの同義語として利用されます。特に航空や通信の分野ではUTCの代わりにGMTが使われることもあり、Zは本初子午線を基準とする等時帯の標記に使用されます。このように、UTCは多様な文脈で用いられています。

国際原子時との関連

国際原子時は、1970年に定義され、いくつかの機関で運用されている原子時計の指示値に基づいています。1972以降、UTCは国際原子時と部分的に同調し、整数秒差が維持されるように管理されています。国際原子時の起点は1958年のUT2世界時です。各国の時間はこの基準に基づいて算出され、原子時計データが国際度量衡局に送信され協力して国際的な時刻の統一が図られています。

世界時と調整

UT1世界時は地球の自転に基づいて算出されますが、地球の自転は10年周期で長短があり、ミリ秒単位の不規則さが観測されています。そのため、UTCはUT1との近似的な一致を保つために、閏秒調整を行うことでその差を管理しています。最新の情報では、UTCは国際原子時から正確に37秒遅れています。

歴史的背景

旧協定世界時は1960年に導入され、その後1971年まで使用されました。経緯として、1950年代にセシウム原子時計が実用化され、多国籍での時刻の精度の向上が求められました。その結果、国際的に同一の基準を設定する必要性が高まり、1972年に現在の協定世界時が定められました。この過程において、時間の精度が求められる物理学などの分野での需要の高まりが、UTCの重要性を一層際立たせています。

現行の管理と推奨

協定世界時は、1988年1月から国際地球回転観測事業（IERS）によって管理されています。このことで、全世界での時刻管理がよりスムーズになり、各国の標準時の基準としての役割が強化されています。国際的にもUTCは標準として広く使用され、信号発信局からの報時情報も多くの国で法定の時間の基礎として採用されています。これにより、UTCは産業や科学の多くの分野で重要な役割を果たしています。

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