アルカンターラ (素材)

アルカンターラ：高級感と機能性を兼ね備えた人工皮革

アルカンターラは、1972年に東レとイタリアのエネルギー大手Eni社による合弁事業から生まれた、独特の風合いを持つ人工皮革です。その製造・販売を手掛けるのは、イタリアのアルカンターラ社です。

その素材は、68%のポリエステルと32%のポリウレタンから構成され、天然スエードに似た滑らかな肌触りと、高い耐久性を両立しています。さらに、多くの製品は、家具や自動車内装材として求められる難燃性基準を満たす加工が施されているのも特徴です。

アルカンターラは、カーボンニュートラル認証を取得しており、環境への配慮も重視されています。その優れた特性から、自動車、船舶、衣料品、アクセサリー、家電など、多岐にわたる分野で採用されています。

幅広い用途と高級ブランドとのコラボレーション

アルカンターラの最大用途は、高級自動車の内装です。シート、ダッシュボード、ドアトリム、ヘッドライナーなど、高級車メーカーのモデルにおいて、その上質な素材感が用いられています。

その用途は自動車だけにとどまりません。家具、衣料品、バッグ、アクセサリー、さらにはヘルメットといった分野でも、アルカンターラの高級感と機能性は高く評価されています。

かつては、F1レーシングカーのウィリアムズチームのドライバーシートにも、難燃性カバー素材として採用された実績もあります。また、ゼンハイザー社の高級ヘッドホンであるHD800やMomentum On-Earなどにも、イヤーパッドとして使用され、音楽愛好家からも高い評価を得ています。

近年では、マイクロソフトのSurface Pro用タイプカバーやSurface Laptopのパームレストにも採用されるなど、デジタル機器分野への進出も目覚ましいものがあります。

日本における展開：エクセーヌブランド

日本においては、東レが「エクセーヌ」ブランドとしてアルカンターラに類似した人工皮革を開発・販売しています。かつては、イタリア製のアルカンターラと日本製のエクセーヌが混在していましたが、2013年以降は、イタリア製のものを「アルカンターラ」、日本製のものを「ウルトラスエード」と明確に使い分けるようになりました。

まとめ

アルカンターラは、その高い耐久性、美しい質感、そして環境への配慮から、世界中の様々な分野で広く採用されている、まさにプレミアムな人工皮革素材と言えます。高級感と機能性を両立させたその魅力は、これからも多くの製品やブランドに、新たな価値をもたらし続けることでしょう。

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