アルキメディアン・スクリュー

アルキメディアン・スクリュー



アルキメディアン・スクリュー(Archimedean screw)は、らせん状の羽根を持つポンプの一種で、アルキメデス螺旋とも呼ばれます。円筒形の管の中に螺旋状の羽根が取り付けられており、回転させることで液体や粒状物を連続的に上方へ移動させることができます。効率は低いものの、粘性のある液体にも対応できるため、様々な分野で利用されています。

歴史



アルキメディアン・スクリューは、その名前からアルキメデスが発明したとされていますが、実際には紀元前7世紀のアッシリア王センナケリブの時代に既に利用されていたとする説があります。一般的には、アルキメデスがエジプトを訪れた際に考案したとされており、その後、ギリシア・ローマ時代には、人が装置の外側を踏んで回転させる方法が用いられていました。

14~15世紀には、ドイツの技術者コンラート・キーザーがクランクで動かす方法を考案し、より効率的な操作が可能になりました。日本では、佐渡金山などで坑道の排水に利用され、水上輪や竜樋と呼ばれていました。1637年には、盲人の水学宗甫が佐渡金山に紹介し、江戸時代において最も効率的な排水装置として重宝されました。

作動原理と構造



アルキメディアン・スクリューは、筒状の管の中に螺旋状の羽根が配置されており、この羽根を回転させることで液体や粒状物を連続的に上方へ移動させます。回転には、風力、人力、牛、モーターなどが用いられます。羽根が回転すると、らせんの底面が一定量の水をすくい上げ、回転とともに上部へと押し上げられ、最終的に筒の上部から排出されます。

スクリューと筒の間には隙間がありますが、一回転ごとにすくわれる水の量が、漏れる量よりも多ければ、隙間を完全に塞ぐ必要はありません。また、筒とスクリューが一体化して回転するタイプもあります。古代では、木材や青銅の板を柱に巻き付けてらせんを作り、その周りに板を固定して円筒を形成していました。

応用



アルキメディアン・スクリューは、様々な分野で応用されています。

コンベヤー



スクリュー・コンベヤーは、筒の中にアルキメディアン・スクリューを組み込んだもので、モーターで回転させることで、粒状の素材を効率的に搬送することができます。プラスチックの射出成形や穀物の搬出などに利用されています。

圧縮・成形



射出成形機やダイカストマシンなどでは、アルキメディアン・スクリューが素材を圧縮・溶解するために用いられています。また、回転スクリュー圧縮機や一部のごみ圧縮機にも応用されています。

推進装置



アルキメディアン・スクリューは、砕氷船などの推進器としても利用されています。

発電



アルキメディアン・スクリューは、逆回転させることで発電にも利用できます。上部から水を流し込むとスクリューが回転し、その回転力で発電機を回します。この方式は、水量の変動が大きい場所や、汚れた水でも利用できる利点があります。イギリスでは、この方式を用いたマイクロ水力発電所が稼働しており、テムズ川の水流を利用してウィンザー城に電力を供給しています。アメリカでも、同様の発電施設が建設されています。

関連項目



ガリンコ号
ZIL-29061
リショルム・コンプレッサ
アルキメデス
水理学

外部リンク



P. J. Kantert: "Manual for Archimedean Screw Pump", Hirthammer Verlag 2008, ISBN 978-3-88721-896-6.
P. J. Kantert: "Praxishandbuch Schneckenpumpe", Hirthammer Verlag 2008, ISBN 978-3-88721-202-5.
Technology and Culture Volume 44, Number 1, January 2003 (PDF) Dalley, Stephanie. Oleson, John Peter. "Sennacherib, Archimedes, and the Water Screw: The Context of Invention in the Ancient World"
The Turn of the Screw: Optimal Design of an Archimedes Screw, by Chris Rorres, PhD.
Plywood archimedean screw water pump , how to build a functioning Archimedes' screw pump - ウェイバックマシン(2004年1月21日アーカイブ分)
* "Archimedean Screw" by Sándor Kabai, The Wolfram Demonstrations Project, 2007. : (『アルキメディアン・スクリュー』(サンドラ・カバイ(ハンガリー出身の工学者)、ウォルフマン・デモンストレーション・プロジェクト、2007年))

脚注

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