アルゲマイネ・ムジカリッシェ・ツァイトゥング

『アルゲマイネ・ムジカリッシェ・ツァイトゥング』（Allgemeine musikalische Zeitung）は、19世紀にドイツ語圏で発行された音楽専門の定期刊行物です。この雑誌は当時、最も影響力のある音楽に関する刊行物として広く認識されており、アレッサンドラ・コミーニによれば、ドイツ語による音楽専門紙の中では特に重要な存在だったとされています。特に、ドイツ語圏だけでなく、フランス、イタリア、ロシア、イギリス、さらにはアメリカに至るまで、多くの国々で行われる音楽イベントについて詳細なレビューを掲載していました。

沿革

この定期刊行物は、1798年から1848年の間に最初の週刊誌として創刊され、その後一時休刊を経て、1866年から1882年まで再刊行されました。発行元は当初、ライプツィヒのブライトコプフ・ウント・ヘルテルであり、再発行された第2期の初めの3年間も同じ発行元が担当しました。その後、J・ライター＝ビーダーマンが発行を引き継ぎました。また、第2期の一時期には、『ライプツィガー・アルゲマイネ・ムジカリッシェ・ツァイトゥング』という名称に変更されました。

当初、発行部数は約1,000部ほどであり、これは当時の音楽雑誌としては非常に大きな規模でした。特に注目すべきは、新しいピアノ曲の楽譜案内が多く掲載されていたことです。さらに、重要な作品の素材も頻繁に取り上げられており、音楽学者ゲオルク・アウグスト・グリージンガーによるヨーゼフ・ハイドンの伝記の初版本が連載されたほか、グスタフ・ノッテボームやエドゥアルト・ハンスリックによる評論も見られました。

また、著名な批評家であったE・T・A・ホフマンを編集者として迎え入れ、彼の記事は大きな影響を及ぼしました。特に、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの交響曲第5番についてのホフマンのレビューは、音楽界において非常に重要な位置を占めていました。さらに、ロベルト・シューマンやフランツ・リストもこの雑誌に寄稿しています。

同誌には、初代の編集長ヨハン・フリードリヒ・ロホリッツの手による、「ロホリッツの逸話」として知られるヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトに関する物語が多数掲載されました。これらの逸話は、今日ではロホリッツによる創作が大きく反映されたものと考えられています。

編集長

『アルゲマイネ・ムジカリッシェ・ツァイトゥング』の初期50年の間に在任した編集長は、以下のとおりです。

- ヨハン・フリードリヒ・ロホリッツ - 創刊から20年間編集長を務め、その後も寄稿を続けました。
- ゴットフリート・クリストフ・ヘルテル - 出版社の所有者であり、匿名で10年間編集長を務めました。
- ゴットフリート・ヴィルヘルム・フィンク - 14年間編集長を努めました。
- カール・フェルディナント・ベッカー - 1842年に編集長に就任。
- モーリッツ・ハウプトマン - 1843年に編集長に任じられました。
- ヨハン・クリスティアン・ローベ - 最後の2年半編集長を務めました。

編集長の不在があった3年間もありましたが、それを経てローベが引き継ぎました。

国際音楽記事総覧及び記事索引 (RIPM)

『国際音楽記事総覧及び記事索引』（Répertoire international de la presse musicale, RIPM）は、この定期刊行物の両期間にわたる貴重な内容を収録しており、以下の2つの資料があります。

- Ole Hass, Allgemeine musikalische Zeitung 1798–1848. 14 vols. Répertoire International de la Presse Musicale (Baltimore, Maryland: RIPM, 2009).
- Karl Kügle, Allgemeine musikalische Zeitung 1863–1882. 7 vols. Répertoire International de la Presse Musicale (Ann Arbor, Michigan: UMI, 1995).

なお、『アルゲマイネ・ムジカリッシェ・ツァイトゥング』は、ベルリンで発行されていた『ベルリナー・アルゲマイネ・ムジカリッシェ・ツァイトゥング』や、ウィーンの『ヴィエナー・アルゲマイネ・ムジカリッシェ・ツァイトゥング』とは異なる雑誌であることに注意が必要です。

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