アルゴ座

アルゴ座（Argo）

アルゴ座は、希少な存在感を持つ南天の星座であり、その起源は古代ギリシアの神話に示されています。古代の物語では、アルゴ座はギリシア神話の英雄イアソーンが金羊毛を求めて旅した船「アルゴー」に由来しています。この星座は、古代エジプトから古代ギリシアにかけての文化的影響を受けたものであると考えられています。

由来と歴史

アルゴ座の起源は、古代メソポタミアの星座とは異なり、古代エジプトにあると言われています。例えば、プルタルコスはアルゴ座を「オシリスの船」として記述し、古代エジプトの神話に関連付けました。この星座が船を象徴するようになった具体的な時期は不明ですが、エジプトから伝わったのは紀元前1000年頃であるとする研究者もいます。

実際にアルゴ座の名前が最初に見られるのは、紀元前4世紀の古代ギリシアの天文学者エウドクソスの著作においてです。彼が書いた『ファイノメナ』からはアルゴ座の名前が確認されていますが、その内容は現在は失われています。3世紀の詩人アラートスの作品では、アルゴ座の船首部分が霧に覆われて見えないことが描写されています。

アルゴ座はさらに、エラトステネースやヒュギーヌスといった後の著作物にも言及され、特にプトレマイオスの『アルマゲスト』では45個の星を含む宇宙の一部として広く認識されました。これにより、アルゴ座は当時の星座として重大な位置を占めていました。

大航海時代とその後

16世紀から18世紀にかけて、大航海時代の探検は新たな天の星々を西洋にもたらしました。しかし、ポルトガルの最初の観測は不正確だったため、星図作成の際にはオランダの探検が重要でした。1595年にオランダの探検家たちが南天を観測し、アルゴ座の詳細を記録しました。これにより、アルゴ座は改訂された星図において地図上での重要な位置を得ることになりました。

1603年にはドイツの法律家バイエルが星座を再整理し、アルゴ座の星々にギリシャ文字を振り分ける新しい体系を設けました。彼はまた、船首が欠けたアルゴ座を岩によって壊れた形で表現しました。このように、アルゴ座は17世紀には旧約聖書のノアの方舟と関係づけられることが多く、様々な名称で呼ばれるようになっていきます。

近代以降の変遷

18世紀にはフランスの天文学者ラカイユがアルゴ座の改変を行い、星座を複数の小さな部分にしていきます。彼は「航海用コンパス」を示す小星座を新たに設け、元のアルゴ座の構造を変えました。その後、19世紀の天文学者グールドはアルゴ座を3つの星座に正式に分割し、最終的には1922年のIAU設立時に現行の88星座が定められ、その中からアルゴ座は姿を消しました。

星座の意義と遺産

今ではアルゴ座は歴史上の存在にすぎませんが、かつては南の空に広がる重要な星座でした。この星座とその由来は、古代から続く人類の宇宙観や神話に大きな影響を与えてきました。属性を持ち続けた星たちは、現在も次第にその重要性を失うことなく天文界で再評価されています。アルゴ座は元のたたずまいを失いましたが、その存在は星空に刻まれたままです。

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