アルスターの赤い手

アルスターの赤い手：象徴と歴史

アルスターの赤い手（英語: Red Hand of Ulster、アイルランド語: Lámh Dhearg Uladh）は、アイルランドの伝統的な地方区分であるアルスターを象徴する紋章として広く知られています。オニールの赤い手 (Red Hand of O'Neill) やアイルランドの赤い手 (Red Hand of Ireland) と呼ばれることもあります。

神話的起源

その起源は、神話上の人物Labraid Lámh Dhearg（赤い手のLabraid）に遡ると言われています。また、口頭伝承された他の神話にもその痕跡が見られます。このシンボルは、1600年代以前のゲール文化、特にアルスター地方のゲール人クラン、例えばオニール一族と深く結びついています。

アルスター王の継承

アルスター王国の後継者争いを描いた神話があります。王を決めるためにボートレースが行われ、「アルスターの石に最初に手を触れた者が王になる」と定められました。ある王位候補は、レースに負けそうになった際に、自らの左手を切り落として岸に投げつけ、その結果、王位を手に入れたとされています。この手が赤いのは、血に染まっていたためと考えられます。別の説では、手を切った王はオニール一族の出身であるとされ、彼らとの繋がりを示唆しています。

別の物語では、巨人同士の戦いが描かれています。一人の巨人が相手の腕を切り落とし、その赤い手の痕跡が岩に残されたというものです。ただし、Labraid of the Red Handとの関連を除けば、これらの物語は後世の創作である可能性が高いと見られています。

歴史的使用

赤い手のシンボルは、九年戦争中にオニール一族によって使用されたと考えられています。その際のスローガン「Lámh Dhearg Abu!（赤い手に勝利を！）」も、オニール一族と深く結びついています。

紋章としての使用

紋章はオニールの血統を持つ一族の苗字を持つ人たちによって使用されました。一部としてあげるとÓ Donnghile, オーカハイン (Ó Cathain)、 Ó MáeilsheáchlainnやÓ Catharnaighです。いずれも何らかの形で赤い手を特徴としており、共通の血統であることを思い起こさせます。オニールの紋章の特徴は赤い手であり、そのモットーは「Lámh Dhearg Éireann (アイルランドの赤い手)」です。

1243年にウォルター・デ・バラ (Walter de Burgh) がアルスター伯 (Earl of Ulster) になった後、デ・バラの十字は赤い手と組み合わされて現在のアルスターの旗 (Flag of Ulster) となっています。

赤い手は後に北アイルランド旗につかわれ、キャバン、ティロン、ロンドンデリー、アントリムの各県のシールドにも加えられました。赤い手はまたアルスター地方において、公私双方で多くの組織において使用されています。

現代における象徴

北アイルランドにおいては、コミュニティーの垣根を越えたシンボルとみなされています。ゲール・アイルランドの象徴としてのルーツから、ナショナリストや共和主義者のシンボルとして使用される一方で、北アイルランド成立以降はロイヤリスト団体にも広く使用されています。RHC（赤手隊）、赤手防衛軍、アルスター防衛同盟などがその例です。

しかし、アイルランドの歴史に詳しくない人々からは、単なるロイヤリストのシンボルと誤解されることもあります。2005年のミス・北アイルランドであるゾーイ・サーモンが、BBCの子供向け番組で赤い手を北アイルランドの代表として選んだ際に、論争が起きました。

赤い手はまた、スコットランドやノヴァ・スコシアの準男爵の印章にも見られます。旗においては右手ですが、準男爵およびアイルランドの協会においては左手として描かれています。

アルスターの赤い手の矛盾

"アルスターの赤い手はまったくもって矛盾してる
準男爵とくっついてるとされるけど
もし彼らが左手を使うなら、全くもって正しい (right)
そして右 (right) 手を使うなら、それは正しくない
地域において違った風習をあてはめるなら
それはひっくり返すのがルール
もしあんたが右 (right) 手を正しい (right) と思ってつかうなら賢く安心
でも左手をつかうなら大ばかだ。。"

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