アルタエロスエナジーズ

アルタエロスエナジーズについて

アルタエロスエナジーズ（Altaeros Energies, Inc.）は、アメリカのマサチューセッツ州サマービルに拠点を置く、MIT（マサチューセッツ工科大学）発のベンチャー企業です。同大学の研究者であったベン・グラス氏らによって設立されました。同社は、送電網のない僻地や、大規模農園、採掘場、難民キャンプなどへの電力供給を目的として、革新的な空中風力発電機の開発に取り組んでいます。

空中風力発電機「Buoyant Airborne Turbine (BAT)」

アルタエロスエナジーズが開発した「Buoyant Airborne Turbine（BAT）」は、ヘリウムを充填した風洞型の気球を利用した空中風力発電機です。この気球は、約10mの長さで、地上300mから600mの高度に浮上します。上空の安定した風を利用して発電を行い、3本のケーブルを通して地上に送電します。

BATの最大発電能力は1基あたり30kWです。送電ケーブルの長さを調整することで、地上からの高さを柔軟に変えることができます。従来の風力発電機が大規模な設置工事を必要とするのに対し、BATは支柱が不要で、トレーラーで運搬し、24時間以内に迅速に設置することが可能です。また、コスト面でも優れており、例えばアラスカでの運用では、ディーゼル発電が1kWhあたり1ドルかかるのに対し、BATは18セントで発電できるとされています。さらに、約44m/sの強風でも運用可能で、落雷のエネルギーも受け流せる設計となっています。台風やハリケーンなどの激しい暴風が予想される場合には、自動制御システムによって地上に退避させる機能も備えています。

低コストなブロードバンド環境の実現「SuperTower」

アルタエロスエナジーズは、BATの技術を応用し、低コストでの僻地へのブロードバンド環境の整備も進めています。BATを用いて、従来の鉄塔よりも高い約240mの高度から電波を送信することで、伝搬損失を抑え、従来の鉄塔型基地局と比較して約30倍のエリアをカバーするLTEおよび5Gネットワークを提供することが可能になるとされています。これにより、コストを半分に削減し、エネルギー消費も70％抑えることができるとされています。現在、エリクソンと提携し、LTE基地局の実証実験を進めています。

沿革

アルタエロスエナジーズは、2010年1月に設立されました。2011年にはコノコフィリップス2011 Energy Prizeを受賞し、2012年にはメイン州で高度106m以上での実証実験を行いました。2014年にはアラスカ州エネルギー庁からの出資を受け、アラスカ州フェアバンクスで高度305m上空での実証実験を実施しました。また、同年にはMITが空中風力発電機BATを発表し、ソフトバンクから700万ドルの出資を受けています。2015年には三菱重工業とスヘイル・バウワン・グループから数億円規模の出資を受け、2017年にはソフトバンクからさらに750万ドルの出資を受けています。2018年には「SuperTower」を発表しました。

関連事項

• - 空中風力発電機

外部リンク

• - アルタエロスエナジーズ
• - Greentown Labs

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