アルター (スペイン)

アルター（Artà）

アルターは、スペインのバレアレス諸島州、マヨルカ島北東部に位置するムニシピ（基礎自治体）です。その名は、アラビア語で「庭園」を意味するjertanに由来すると言われています。遥か青銅器時代から人が居住し、豊かな自然と歴史が織りなす独特の文化が息づいています。

地理

アルターは、バレアレス諸島の州都パルマ・デ・マヨルカから約60km、マヨルカ島の北東部に位置します。自治体域の約半分は山地で、リェバン山地の一部であるアルター山塊が広がります。北側と西側は地中海に面し、西側にはアルクーディア湾が広がっています。海岸線は約25kmに及びますが、その大部分は手つかずの自然が残されています。

隣接する自治体としては、東にカプダペーラ、南にソン・サルベーラがあり、19世紀まではこれら3自治体はアルタ半島地区として共通の地域でした。そのため、カプダペーラの自治体域には「アルター洞窟」という名が残っています。南西にはサン・リュレンス・ダス・カルダサールやペトラ、西にはサンタ・マルガリータのソン・セーラ・ダ・マリーナ地区と隣接しています。

地区

アルターの自治体は、以下の地区で構成されています。アルター地区には毎週火曜日の朝に市場が立ち、地元の人々で賑わいます。

アルター地区 (5,803人)
クロニア・ダ・サン・パレ地区 (483人)
バトゥレム地区 (51人)
ムンファルチュ地区 (114人)
サン・パレ地区 (34人)
サスパニョール地区 (25人)

自然

自治体域には、標高561mのムレイ山や標高256mのデン・ミール山などがあります。リェバン山地は、近年の森林火災により自然が損なわれつつありますが、岩がちな入江を持つファルチュ洞窟は、ミサゴやハヤブサなどの鳥類にとって貴重な休息地となっています。北岸は野生のヤギの生息地であり、山地にはトキワガシの小さな森が点在し、石垣で囲まれた畑ではアーモンド、イチジク、イナゴマメなどが栽培されています。

丘陵地ではオリーブの果樹園が広がり、急斜面には石垣が築かれています。自然植生としては、大規模なヨシ原やシュロ類が見られます。シュロ類は、アルターの伝統工芸であるかご細工の主原料として利用されています。降水量は年間を通して少なく、特に7月は最も少ない8.8リットル/m2、10月は最も多い101.3リットル/m2となっています。2001年には、リェバン半島自然公園が設置され、貴重な自然が保護されています。

人口

自治体の面積は139.79km2、2015年の人口は7,381人、人口密度は52.8人/km2です。2006年の統計では、人口の13.2%にあたる890人が外国籍で、そのうちドイツ国籍が最も多くなっています。住民は、カタルーニャ語のマヨルキ方言を話します。

経済

アルター周辺地域では、マヨルカ島でもっとも古い工芸品であるかご細工が盛んです。考古学的遺跡からも編まれた植物繊維が発見されており、古くから生活に根ざした工芸品であったことが伺えます。西地中海地域で使用されるかご細工の主原料は、強固で柔軟な葉を持つシュロ類です。シュロ類は、主にマナコールとアルターの間の地域に自生しており、現在ではアルター周辺の畑でも栽培されています。かご、帽子、背負いカゴ、かばんなどが製造されるほか、茎や葉はほうきやロープの材料としても利用されています。

出身者

アントニオ・リテレス (1673-1747): 作曲家。
ミケル・アルサモーラ (1974-): 自転車競技選手。
アブドン・プラツ (1992-): サッカー選手。
セルジ・ダルデル (1993-): サッカー選手。

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