アルター・ケンプファー

アルター・ケンプファー（独: Alter Kämpfer）は、ナチ党の初期党員、具体的には1930年ドイツ国会選挙以前に入党した者を指す用語です。日本語では「古参闘士」と訳されます。

古参闘士の定義と特徴

古参闘士と認められる者の大部分は、1919年から1923年頃のナチ党草創期に入党しています。1930年9月のドイツ国会選挙以後に入党した者は「セプテンバーリンク（Semptemberling、9月党員）」、1933年1月30日の政権掌握後に入党した者は「メルツファイルヒェン（Märzveilchen、「ニオイスミレ」の意）」と呼ばれ、区別されました。

古参闘士は、1925年から1933年の「闘争期（Kampfzeit）」における党への献身が認められていました。そのため、1933年以降に日和見的に入党した新参党員とは明確に区別され、特別な勲章や記章が制定されました。

古参闘士名誉章: 1933年1月30日以前に党またはその関連組織に加入した者に授与
黄金ナチ党員バッジ: 初期に入党し継続して活動していた者のうち、党員番号10万番までの者に授与
血の勲章: 1923年のミュンヘン一揆に参加した最古参党員に授与

古参闘士の実態と特権

アルター・ケンプファーは、単なる称号だけでなく、実生活における利益も享受しました。ナチ党が権力を掌握すると、雇用や昇進の面で優先権が与えられ、オペラハウスや政府庁舎、大学など、名声のある仕事に就く者が多くいました。中には、元用心棒から親衛隊少将にまで上り詰めたクリスティアン・ヴェーバーのような例も見られました。

アルター・ケンプファーは、「殆ど勝ち目のない状況に立ち向かう、ごく一握りの闘士」として、党の宣伝材料として大いに利用されました。各地で「古参」を主役とする集会が頻繁に開かれ、その参加者は「最古参」から1932年に入党した者まで様々でした。

1933年11月、党の「英霊顕彰」式典では、シュターネッカーブロイでの集会への参加資格として、「1920年に旧ナチ党に加入し、1923年11月9日（ミュンヘン一揆）まで間断なく党員であり、1925年に再加入した」「最古参の党友」であることが条件とされました。古参の分類には、加入時期の早さから順に「古参衛士」「古参闘士」「古参党友」といった区別が存在しました。

関連項目

アドルフ・ヒトラー特攻隊
* オールド・ボリシェヴィキ - ソ連共産党における古参党員


アルター・ケンプファーは、ナチ党の歴史において、初期からの党員を顕彰し、党の正当性を高めるための重要な役割を果たしました。

もう一度検索