アルトゥール・アクスマン

アルトゥール・アクスマン（Artur Axmann, 1913年2月18日 - 1996年10月24日）は、ナチス・ドイツの政治家であり、軍人でした。彼は国家社会主義ドイツ労働者党（ナチス党）の全国青少年指導者として、ヒトラー・ユーゲントを率いました。

生い立ちとナチス党との関わり

1913年、アクスマンはドイツのハーゲンで生まれました。彼は法律を学ぶ傍ら、1928年にはヴェストファーレンで最初のヒトラー・ユーゲントを組織しました。その卓越した指導力により、彼はすぐにナチス党の青年組織をまとめ上げ、1932年には若くしてナチス党の幹部である全国指導者の一員となりました。

1933年には、全国青少年指導者（ヒトラー・ユーゲント団長）であったバルドゥール・フォン・シーラッハの事務所長に就任し、ヒトラー・ユーゲントにおける職業訓練や農業奉仕活動の監督を担当しました。彼の指導の下、ヒトラー・ユーゲントはドイツの青少年の組織として、その規模と影響力を拡大していきました。

第二次世界大戦とヒトラー・ユーゲントの動員

第二次世界大戦が勃発すると、アクスマンは1940年5月に西部戦線に従軍しましたが、同年8月にはシーラッハの後任として全国青少年指導者に任命されました。アクスマンは、戦争の激化によって枯渇していた人的資源を補うため、ヒトラー・ユーゲントを消防、郵便、ラジオなどの分野に投入しました。また、1941年には東部戦線で重傷を負い、右腕を失っています。

戦況が悪化するにつれて、ヒトラー・ユーゲントの隊員は兵士として動員されましたが、十分な装備や訓練を受けていない彼らは、多くの犠牲者を出すことになりました。ベルリンの戦いでは、ヒトラー・ユーゲントの隊員も戦闘に参加し、多くの若者が命を落としました。アクスマンは、1944年1月4日にドイツ勲章を授与されました。

戦後の逃亡と逮捕

ベルリン陥落時、アクスマンは総統地下壕にいましたが、ヒトラーの自殺後、マルティン・ボルマンやルートヴィヒ・シュトゥンプフエッガーとともに脱出を図りました。しかし、赤軍の攻撃が激しく、彼らと別れて逃亡した結果、ボルマンとシュトゥンプフエッガーの遺体を発見しました。アクスマンは、彼らが自殺したとは知らずに、混乱の中で逃亡を続けました。

アクスマンは「エーリヒ・ジーヴェルト」という偽名を使って、他のナチス関係者とともに潜伏生活を送っていましたが、1945年12月に活動が発覚し、リューベックで連合軍に逮捕されました。

戦後と晩年

1949年5月、アクスマンはニュルンベルク継続裁判で懲役3年3か月の刑を言い渡されました。戦後はセールスマンとして働きながら、1958年にはヒトラー・ユーゲントの指導者としての責任を問われ、財産の半分にあたる35,000マルクの罰金を科されました。

アクスマンは1995年に自伝「"Das kann doch nicht das Ende sein." Hitlers letzter Reichsjugendführer erinnert sich.」を出版し、自らの過去を回想しました。彼は1996年にベルリンで亡くなりました。アクスマンの生涯は、ナチス・ドイツの興隆と没落、そして戦争の悲劇を象徴するものでした。

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