アルトランシュテット条約

アルトランシュテット条約について

アルトランシュテット条約は、1706年10月13日に締結され、スウェーデン国王カール12世とザクセン選帝侯兼ポーランド国王アウグスト2世の間で合意されました。この条約は大北方戦争の最中に締結されたものであり、重要な歴史的な意味を持っています。

背景

17世紀末から18世紀初めにかけて続いた大北方戦争は、スウェーデンとロシアなどの大国との間での激しい戦闘を引き起こしました。1705年10月4日、スウェーデン側の代表であるスタニスワフ・レシチニスキが、ポーランド＝リトアニア共和国の王として戴冠されました。しかし、ポーランド国内ではアウグスト2世を支持する勢力とスウェーデンを支持する勢力の間で激しい対立が続いており、結果的には1704年から1706年にかけて内乱が勃発しました。

アウグスト2世は、ポーランド＝リトアニア共和国における支配を取り戻そうとしましたが、1706年初頭のグロドノの戦いとフラウシュタットの戦いで敗北しました。これにより、ザクセン選帝侯領の防衛は非常に脆弱になり、カール12世の軍が再度攻め入った際にアウグスト2世は実質的な抵抗を行うことができませんでした。

条約の締結

アルトランシュテット条約によって、アウグスト2世はスウェーデンとの和平を結びます。具体的には彼のポーランド王位への請求を取り下げ、スタニスワフ・レシチニスキの即位を承認するとともに、プレオブラジェンスコエ条約とナルヴァ条約を基にしたロシアとの同盟を無効としました。アウグストの側のロシア軍は、すべてスウェーデンに捕虜として引き渡されました。この条約は密かな交渉の結果締結されたものであり、当時の国際関係に大きな影響を及ぼしました。

条約の影響

アルトランシュテット条約の締結後、ザクセンの外交官であるヨハン・パトクルは処刑され、アウグスト2世の動きによってピョートル1世の失望を招きました。彼はアウグスト2世を友人としても扱っていただけに、この条約がもたらした変化は彼にとって非常に痛手でした。また、アウグスト2世がポーランド王位を放棄したことで、ピョートル1世は他の友好国に新しい王の即位を打診し、この時期の国際情勢により複雑な影響を与えました。

一方、ポーランド国内ではこの条約によってスタニスワフ・レシチニスキの地位が強化され、彼は下級貴族たちからの支持を取り付けることができました。しかし、その後の状況は劇的に変化し、1709年のポルタヴァの戦いでピョートル1世がスウェーデン軍に勝利することで、アウグスト2世がポーランド王として復位し、ロシアとの同盟を再開することになりました。

結論

アルトランシュテット条約は、スウェーデンとザクセンの関係、そしてポーランド＝リトアニア共和国の君主制における権力のダイナミクスに大きな影響を与える重要な出来事でした。この条約自体が短期間での変化をもたらしたわけですが、同時に歴史の流れを大きく変えるきっかけともなったのです。

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