ポルタヴァの戦い

ポルタヴァの戦い

ポルタヴァの戦いは、1709年6月27日（新暦7月8日）に、現在のウクライナ東部ポルタヴァで行われた、大北方戦争におけるロシアとスウェーデン間の重要な戦いです。カール・グスタフ・レーンスケルド率いるスウェーデン軍と、ピョートル1世率いるロシア軍が激突し、ロシア軍が決定的な勝利を収めました。

この戦いは、大北方戦争の転換点となり、スウェーデンの軍事的な優位を終わらせました。スウェーデン軍には、ウクライナ・コサックのイヴァン・マゼーパも加わっていましたが、結果として敗北を喫しました。また、この戦いでは、後のロシア帝国陸軍の傑出した指揮官となるピーター・レイシもロシア軍の一翼を担いました。

戦いの背景

1700年、ロシアとその同盟国はスウェーデンを攻撃し、大北方戦争が始まりました。デンマーク、ポーランド、ロシアはそれぞれスウェーデン領へ侵攻しましたが、スウェーデン王カール12世は迅速な対応でデンマークを降伏させ、ナルヴァの戦いではロシア軍を破りました。その後、カール12世はポーランドにも侵攻し、アウグスト2世を退位させ傀儡政権を樹立。スウェーデンの敵はロシアのみとなりました。

一方、ロシアのピョートル1世は、失われた戦力の回復と軍の近代化を進めました。1707年、スウェーデン軍はロシア本土への侵攻を開始しますが、ロシア軍の焦土作戦により進軍を断念し、南下してウクライナへ進路を変えました。イヴァン・マゼーパがカール12世に内通していましたが、ピョートル1世の先制攻撃によりマゼーパは逃亡。さらに、記録的な寒波でスウェーデン軍は補給を断たれ、多くの凍死者を出すなど、戦況は悪化しました。

1709年6月、カール12世はポルタヴァを包囲しますが、その最中に負傷し、指揮権をレーンスケルドに委ねざるを得なくなります。その後、ピョートル1世率いるロシア軍が到着し、スウェーデン軍は逆に包囲される形となりました。兵力で劣るスウェーデン軍は包囲を突破するために決戦を決意します。

戦闘の経過

6月27日未明、スウェーデン軍は奇襲を仕掛けましたが、ロシア軍に察知されます。スウェーデン軍は一時的にロシア軍を後退させましたが、堡塁からの集中砲火により損害を拡大しました。夜明けになり、スウェーデン軍はロシア軍陣地に攻撃を仕掛けますが、連携がうまくいかず頓挫。さらに、カール・グスタフ・ルース大将率いる歩兵部隊が堡塁の攻撃に失敗し、大きな損失を被ります。これにより、スウェーデン軍の戦線に大きな穴が開きました。

ピョートル1世は反撃を命令し、ロシア軍はスウェーデン軍を攻撃。スウェーデン軍は騎兵が崩れ、撤退を開始します。カール12世は敗北を悟り全軍に撤退を命じましたが、ロシア騎兵の追撃により多くの死傷者を出しました。スウェーデン軍は包囲軍と合流後に南へ敗走しますが、レーンスケルドやレーヴェンハウプトらは降伏し、ロシア軍に捕らえられました。

戦いの結果と影響

カール12世とマゼーパは敗残兵に紛れてオスマン帝国へと逃れました。スウェーデン軍は戦死者5,000人以上、降伏した兵士は15,000人以上と壊滅的な被害を受け、生きてスウェーデンに帰還できたのはわずか5,000人でした。

ポルタヴァの戦いは、大北方戦争の転換点となり、ロシアの主導で北方同盟が再結成されました。デンマークが戦線に復帰し、ポーランドではアウグスト2世が復位。バルト地方はロシアの支配下に入り、スウェーデンの優位は失われました。この戦いは、スウェーデンにおける衰退の始まりを告げるものでした。

日付について

当時、スウェーデンはスウェーデン暦、ロシアはユリウス暦を使用していました。本稿ではユリウス暦で統一しています。

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