アルト・ラツィオ原子力発電所

アルト・ラツィオ原子力発電所は、イタリアのラツィオ州ヴィテルボ県、モンタルト・ディ・カストロの西部に建設が計画されていた原子力発電所です。地元ではモンタルト・ディ・カストロ原子力発電所とも呼ばれていました。

この発電所は、2基の沸騰水型原子炉を設置し、それぞれ982MWeの発電容量を持つ予定でした。使用される核燃料は低濃縮ウランで、完成すればイタリアの電力供給に大きく貢献することが期待されていました。建設工事は順調に進み、完成間近の1988年を迎えました。しかし、この年にイタリア政府は、国民投票の結果を受けて原子力発電所の廃止を決定しました。この決定により、アルト・ラツィオ原子力発電所は稼働することなく、建設が中止されることとなりました。

建設は中止されたものの、完全に無駄になったわけではありません。特に、冷却水として利用する海水を取り入れるための設備は、その後、近隣に建設されたアレッサンドロ・ボルタ火力発電所に転用されました。原子力発電所のために建設されたインフラが、別のエネルギー施設で活用されることになったのです。

原子炉

アルト・ラツィオ原子力発電所には、2基の沸騰水型原子炉が設置される予定でした。この形式の原子炉は、炉内で発生した蒸気で直接タービンを回す仕組みで、比較的シンプルな構造が特徴です。各原子炉は、約982MWの発電能力を持つ計画でした。

註

イタリアにおける原子力発電の歴史は、この発電所の建設中止によって一時的に幕を閉じました。原子力発電の再開を求める動きもありますが、国民の根強い反対があり、実現には至っていません。

外部リンク

Nuclear power in Italy at the WNA site.

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