アルナルド・タマヨ・メンデス

アルナルド・タマヨ・メンデス

アルナルド・タマヨ・メンデス（Arnaldo Tamayo Méndez）氏は、1942年1月29日にキューバ東部のグアンタナモ市で、労働者の家庭の子として生を受けました。幼い頃から家計を支えるため、僅か9歳で果物売りや靴磨きとして働き始め、13歳からは地元の靴工場で労働に従事するなど、厳しい環境の中で育ちました。

幼少期から軍歴へ

キューバ革命後、彼は革命軍に志願して入隊します。パイロットとしての道を志し、1960年から翌年にかけてソ連（現ロシア連邦等）のエイスクにある飛行士高等軍事航空学校で学び、MiG-15戦闘機の高度な操縦技術を習得しました。1961年には、エヘルシト・レベリデ工業大学を卒業しています。1962年10月に発生したキューバ危機の際には、サンアントニオの空軍基地に配属されており、MiG-15に搭乗して20回以上に及ぶ偵察および迎撃ミッションを遂行するなど、国の防衛に貢献しました。その後も軍でのキャリアを積み、1969年から1971年にかけてアントニオ・マクシモ・ゴメス革命軍高等学校で更なる教育を受けました。1971年から1975年まではサンタクララに駐屯する航空旅団の参謀長を務め、1975年には副旅団長に昇進するなど、軍内部で要職を歴任しました。

歴史を刻んだ宇宙飛行

彼の人生における最大の転機は、宇宙飛行士への道が開かれたことでしょう。1978年3月、ソ連主導の国際宇宙協力計画であるインターコスモス計画において、キューバ代表の宇宙飛行士候補に選ばれました。ロシアの星の街にあるガガーリン宇宙飛行士訓練センターで厳しい訓練を開始し、同年10月にはソユーズ38号の主要乗組員に指定されました。この際のバックアップクルーはホセ・ロペス・ファルコンでした。

そして1980年9月18日、アルナルド・タマヨ・メンデスはソユーズ38号に搭乗し、バイコヌール宇宙基地から宇宙へと旅立ちました。彼は約8日間にわたり、軌道上の宇宙ステーション「サリュート6号」に滞在し、様々な科学実験や観測に従事しました。これはラテンアメリカ出身者として、またアフリカ系の人類としても史上初の宇宙飛行という、世界史に名を刻む歴史的な快挙となりました。無事地球に帰還した9月26日、彼はソ連邦英雄の称号とレーニン勲章を授与され、その功績が称えられました。

その後の貢献と現在

宇宙からの帰還後も、タマヨ・メンデス氏はキューバ社会の発展に貢献し続けました。1981年から1992年にかけては軍事愛国教育協会の指導者を務め、国の青年育成に尽力しました。また、政治家としても活動し、第4期国会議員を務め、「キューバ－ロシア」友好会派の議長として外交面でも重要な役割を果たしました。1997年からは国防省の対外関係局長として、国際的な軍事交流を担当しました。長年にわたる公職の務めを終えた現在、彼は穏やかな年金生活を送っています。

彼が授与された栄誉は数多く、母国からはキューバ共和国英雄、ソ連からはソ連邦英雄の称号が贈られています。その他にも、プラヤ・ヒロン勲章やレーニン勲章など、国内外からその功績を認められています。アルナルド・タマヨ・メンデス氏は、貧しい生まれからラテンアメリカ初の宇宙飛行士へと駆け上がった不屈の精神と、キューバへの献身を示した英雄として、今もその功績が語り継がれています。

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