インターコスモス
インターコスモス計画：ソ連主導の国際宇宙協力
インターコスモス（Intercosmos）は、ソビエト連邦が主導し、ワルシャワ条約機構の同盟国を中心とした国際協力によって進められた宇宙探査計画です。この計画は、ソ連と友好関係にあった国々の宇宙開発を促進し、科学技術の進歩に貢献することを目的としていました。
計画の概要
インターコスモス計画は、1960年代後半から1990年代初頭にかけて実施され、有人宇宙飛行と無人衛星の打ち上げの両方を含んでいました。特に、有人ミッションでは、ソ連の宇宙ステーション「サリュート」シリーズが利用され、多くの参加国から宇宙飛行士が派遣されました。また、無人衛星ミッションでは、太陽観測、地球大気観測、宇宙空間の物理現象の研究など、多岐にわたる科学実験が行われました。
有人ミッション
インターコスモス計画の最も注目すべき成果の一つは、ソ連以外の宇宙飛行士を宇宙に送り出したことです。1978年から1988年にかけて、14人の外国人がソユーズ宇宙船に搭乗し、宇宙ステーションで科学実験や観測を行いました。これには、フランスのジャン＝ルー・クレティエン氏のように、ソ連に賛同的な国からの参加者も含まれていました。
有人ミッションの主な舞台となったのは、サリュート6号とサリュート7号の宇宙ステーションです。その後、ミール宇宙ステーションでも3回のミッションが実施されました。インターコスモス計画終了後、国際宇宙ステーション（ISS）計画に代表されるような、より広範な国際共同飛行へと移行していきました。
無人ミッション
インターコスモス計画では、数多くの無人衛星が打ち上げられ、多岐にわたる科学研究が行われました。以下に、その主なミッションをまとめます。
- - 初期の観測衛星
- 1970年：バーティカル1号 - 超高層大気、電離層、太陽観測
- 1971年：バーティカル2号 - 紫外線、太陽X線観測
- 1972年：インターコスモス6号 - 近地球での宇宙船と隕石調査
- 1975年：インターコスモス14号
- 1975年：バーティカル3号 - 紫外線、太陽X線観測
- - 技術開発とテスト
- 1976年：インターコスモス15号 - 衛星の新システムと構成部品テスト
- - 大気と宇宙環境の観測
- 1977年：シグネ3号 - 衛星開発・運用にフランスの専門家が参加
- 1977年：バーティカル5号 - 紫外線、太陽X線観測
- 1977年：インターコスモス17号 - 地球周囲での粒子と微小隕石観測
- 1977年：バーティカル6号 - 電離層、太陽観測
- - 磁気圏と電離圏の研究
- 1978年：マギオン1号 - インターコスモス18号により打ち上げられたチェコスロバキアの衛星
- 1978年：バーティカル7号 - 電離層、太陽観測
- - 国際協力の深化
- 1979年：バーティカル8号 - 紫外線、太陽X線観測
- 1979年：インターコスモス20号 - 複数国共同
- - 技術試験と観測の継続
- 1981年：インターコスモス21号 - 複数国共同
- 1981年：インターコスモス22号（ブルガリア1300）- ブルガリア
- 1981年：バーティカル9号 - 紫外線、太陽X線観測
- 1981年：オレオル3号 - ソ連とフランスの共同プロジェクト
- - 後期のミッション
- 1986年：コスモス1809号
- 1989年：マギオン2号 - インターコスモス24号の一部
- 1989年：インターコスモス24号 - 複数国共同、アメリカも参加
- 1991年：インターコスモス25号 - 複数国共同
- 1991年：マギオン3号
- 1994年：インターコスモス26号 - Coronas-Iプロジェクトの一環（複数国共同）
国際協力のモデル
インターコスモス計画は、国際協力による宇宙探査のモデルケースとして、重要な役割を果たしました。特に、ソ連と友好関係にあった東欧諸国との協力は、これらの国々の宇宙開発能力の向上に大きく貢献しました。また、フランスのように西側諸国も一部参加したことは、政治的な対立を超えて科学技術の交流を進める上で重要な意義を持っていました。
関連項目
- - インタースプートニク
- - 有人宇宙飛行
インターコスモス計画は、その後の国際宇宙協力の礎となり、多くの国々が宇宙開発に参入するきっかけとなりました。この計画を通じて培われた経験と技術は、今日の宇宙探査活動にも活かされています。
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