アルファロメオ・GT

アルファロメオGT：イタリアンスポーツクーペの洗練と力強さ

アルファロメオGTは、2003年から2010年にかけて、イタリアの自動車メーカー、アルファロメオが製造・販売したクーペタイプの乗用車です。2003年3月、ジュネーブモーターショーで発表されたこのモデルは、ベルトーネが手がけたスタイリッシュなデザインが大きな魅力となっています。2ドアクーペにハッチゲートを組み合わせたボディスタイルは、実用性とスポーティさを両立した設計と言えるでしょう。

開発とプラットフォーム

当時、アルファロメオはミドルクラスの2ドアクーペとしてGTVを既にラインナップしていました。そのため、GTはGTVとは異なるアプローチで開発されました。新規設計ではなく、既存モデルである147や156の部品を積極的に活用することで、開発コストと時間を削減したのです。

プラットフォームを始めとする主要なコンポーネントは156をベースに発展させたものですが、サスペンションシステムには147GTAのフロントサスペンションと156スポーツワゴンのリアサスペンションを採用するなど、走行性能の向上に重点が置かれています。また、フロントフェンダーは147GTAから、ドアやダッシュボード、シートなどは147のデザインを流用することで、コスト効率を高めつつ、スポーティな雰囲気を演出しています。

エンジンとパワートレイン

搭載されるエンジンは、基本的には156と共通の設計思想に基づいていますが、出力特性などに若干の違いが見られます。170PSのディーゼルエンジンもラインナップに含まれており、V6エンジンは156の250PSから240PSへと、若干ながら出力は抑えられています。

日本市場では、2.0リットル直噴ガソリンエンジンと3.2リットルV型6気筒エンジン（2008年8月まで）が設定されました。これらのエンジンは、力強い加速性能と、アルファロメオらしいスポーティな走りを実現しています。

具体的には、ガソリンエンジンとして1.8L直列4気筒、2.0L直列4気筒JTS直噴、3.2L V型6気筒「Busso」エンジンが用意され、ディーゼルエンジンとしては1.9Lターボ直列4気筒JTDエンジンが搭載されました。これらのエンジンは、それぞれ異なる特性を持つため、ドライバーの好みに合わせて選択することができました。

グレード構成と限定車

日本での販売は2004年6月から開始されました。当初は、2.0Lエンジンを搭載したベースグレードの「2.0JTSセレスピード」、その豪華装備版である「2.0JTSセレスピード・エクスクルーシブ」、そして3.2Lエンジンを搭載した最上級グレードの「3.2V6 24V」の3つのグレードが設定されました。

変速機は、直列4気筒エンジンモデルには5段セレスピード、V6エンジンモデルには6段MTが組み合わせられました。また、日本仕様では、直列4気筒モデルは右ハンドル、V6モデルは左ハンドルのみの設定となっていました。

その後、ベースグレードの2.0JTSセレスピードをベースに、内外装をアレンジした限定車も多数登場しました。「ディスティンクティブ」「プログレッション」「スポルティーバ」「コレッツィオーネ」など、それぞれ異なるデザインや装備が施された限定車は、コレクターからも高い人気を誇っています。これらの限定車は、通常モデルとは異なる魅力を持ち、個性的な一台を求めるユーザーを惹きつけました。

まとめ

アルファロメオGTは、イタリアらしいスタイリッシュなデザインと、スポーティな走りを実現したクーペです。156や147の技術を活かしながら、独自の個性を確立したモデルと言えるでしょう。様々なグレードや限定車の存在も、このモデルの魅力を高めています。現在では生産終了していますが、その存在感は、多くのアルファロメオファンに記憶されています。 また、ウルトラマンマックスにおいては、対怪獣防衛チームDASHの専用車「ダッシュアルファ」として登場するなど、フィクションの世界でもその存在感を示しています。

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