アルファロメオ・SZ

アルファロメオ SZ/RZ：孤高のスポーツカー

アルファロメオSZとRZは、1980年代後半から1990年代前半にかけて製造された、希少なスポーツカーです。クーペタイプのSZと、そのオープンモデルであるRZは、独特のデザインと高いパフォーマンスで知られ、現在ではコレクターズアイテムとして高い人気を誇っています。

デザインと開発：怪物「イル・モストロ」

SZの開発は、1989年に発表されたコンセプトカー「ES-30」から始まりました。ザガートがデザインを担当したこのプロトタイプは、エクステリアのみのモデルでしたが、その後のSZのデザインに影響を与えたとされています。しかし、最終的なSZのデザインは、フィアット・デザインセンターによって手がけられました。ロバート・オプロンによる初期デザインをベースに、アントニオ・カステッラーナがボディワークとインテリアを精緻に作り込みました。その結果生まれたSZは、攻撃的なデザインから「イル・モストロ」（怪物）というニックネームで呼ばれることになります。

特徴的なデザインだけでなく、SZはアルファロメオ75と同じ2,959cc V型6気筒SOHC 12バルブエンジンを搭載していました。しかし、75の188hpを上回る210ps(207hp)/6,200rpmの最高出力と25.0kgf・m/4,500rpmの最大トルクを発揮し、当時アルファロメオのラインナップ中、最もパワフルなモデルでした。

シャシーは、フィアットとランチアのラリーチームのエンジニア、ジョルジオ・ピアンタが75のグループA仕様車をベースに改良を加えたものです。サスペンションシステムには、オランダの部品メーカーコニ製のハイドロリックシステムが採用されました。ボディパネルはプラスチック製で、イタリアのカープラスト社とフランスのストレイタム社が製造を担当しました。

SZの生産は1991年に終了。その後、1992年にはオープンモデルのRZが発売されました。RZは1993年9月まで生産され、SZと合わせて、希少なモデルとして現在まで高い評価を受けています。RZの生産終了後、アルファロメオの後輪駆動車は、2006年の8Cコンペティツィオーネまで登場しませんでした。

メカニズム：洗練された走り

SZ/RZのパワートレインは、アルファロメオ75譲りの2.95L V6エンジンです。しかし、出力は75を大きく上回り、優れた加速性能を実現していました。トランスミッションは5速マニュアルトランスミッションで、駆動方式は後輪駆動です。

足回りは、ラリー経験豊富なエンジニアの手によってチューニングされ、優れたハンドリング性能を発揮します。コニ製のハイドロリックシステムも、安定した走行に貢献しています。

アルファロメオの歴史における位置づけ

SZ/RZは、アルファロメオの歴史において、独特の存在感を放っています。その希少性と、攻撃的なデザイン、そして優れた走行性能は、多くの愛好家を魅了し続けています。後輪駆動車の空白期間を経て登場した8Cコンペティツィオーネは、SZ/RZの伝統を受け継ぐモデルと言えるかもしれません。

SZ/RZは、単なるスポーツカーではなく、アルファロメオの歴史と技術力の結晶と言えるでしょう。その存在感は、現在でも多くの自動車愛好家にとって、忘れがたいものとなっています。

関連モデル

アルファロメオ・ジュリエッタ：一部の限定モデルには「SZ」のサブネームが付けられていました。これは、SZのデザインと性能が、アルファロメオのスポーツカーの歴史において重要な位置を占めていることを示しています。

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