アルフェニン

アルフェニンは、ポルトガル領アゾレス諸島、テルセイラ島で作られる独特な白い砂糖菓子です。その製法は、砂糖に水と少量の酢を加えて加熱し、飴状になったものを引き伸ばしながら、繊細な形を作り上げていくというものです。

アルフェニンの魅力は、その見た目の美しさにあります。職人の手によって、花、鳥、動物といった様々なモチーフが表現され、まるで芸術品のような仕上がりになります。特に、聖霊祭などの祭礼で用いられるアルフェニンは、単なるお菓子ではなく、信仰の対象としての意味合いも持ちます。

祭礼では、病気や怪我の治癒に対する感謝の気持ちを込めて、アルフェニンが奉納されます。この際、聖霊の象徴である鳩をかたどったものや、教会の建物を模したもの、さらには、怪我をした体の部分を模したアルフェニンが捧げられることもあります。これらのアルフェニンは、信仰と芸術が融合した、独特の文化を物語っています。

また、アルフェニンは日持ちが良いという特徴から、テルセイラ島を訪れる観光客にとって人気のお土産物となっています。島を訪れた記念として、アルフェニンを購入し、その美しい造形と優しい甘さを楽しむことができます。

興味深いことに、日本の南蛮菓子である「有平糖」の語源は、このアルフェニンにあるという説も存在します。遠く離れた日本とポルトガルの菓子文化が、アルフェニンを通して繋がっているのかもしれません。

参考文献

荒尾美代「アルヘイトウ」『南蛮スペイン・ポルトガル料理のふしぎ探検』日本テレビ、1992年、48-51頁。ISBN 4-8203-9214-X。
荒尾美代 (2005年12月). "南蛮菓子と砂糖の関係". 農畜産業振興機構. 2022年8月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年10月18日閲覧。

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