アルフォンソ13世 (スペイン王)

アルフォンソ13世の生涯

アルフォンソ13世は1886年5月17日に、父王アルフォンソ12世の死後、出生と同時にスペイン国王となりました。彼の誕生は当時のスペインに大きな反響を呼び、国民からの祝砲が鳴り響く中、母マリア・クリスティーナ王太后が摂政として国を治めることになりました。幼少期は教育を受けながら、王族としての義務や精神を学びました。特に、党派的な色合いを持たず、多様な文化に対する理解を深め、ドイツ語、フランス語、英語、イタリア語を習得しました。

16歳で親政を開始したアルフォンソ13世は、国民の自由を重んじる姿勢を見せました。このような背景から、彼はしばしば海外を訪れることがあり、特に1905年のイギリス旅行での出会いが後に人生を変えることになります。彼はヴィクトリア・ユージェニー、イギリスのバッテンバーグ家出身の女性と出会い、1906年に結婚します。この結婚は両国にとって大きな注目を集め、特に彼女のカトリックへの改宗は多くの議論を引き起こしました。

結婚式中、爆弾が投げ込まれる事件が起きましたが、アルフォンソ13世とヴィクトリア・エウヘニアは無事でした。事件は当時の宗教的な緊張感を反映しており、結婚後も強い支持を受ける結果となりました。

第一次世界大戦

その後、第一次世界大戦が勃発すると、アルフォンソ13世は中立を宣言し、経済が一時的に繁栄するも、一般市民の生活は厳しくなりました。この時期、彼は更なる社会改革の努力を試みるも、政情は不安定で多くの政治家が暗殺されるという状況が続きました。

1923年には軍の力を借りてプリモ・デ・リベーラ将軍を首相に迎え、権威主義的体制を目指しますが、リベーラの失脚後、1931年4月に行われた地方自治体選挙では共和派が勝利しました。この結果を受けて、アルフォンソ13世は王位を退くことになります。彼の退位はスペイン市民にとっても大きな変化を意味し、国王の肖像が投げ捨てられ、王政の終焉が実感されました。

亡命とその後

亡命を決断したアルフォンソ13世は、マルセイユ経由でパリにたどり着きました。以後、彼はローマで生活を続け、最後の時を迎えました。彼は名目上、四男フアンに王位を譲り、スペインの王政復古は彼の亡命から44年後の1975年に実現しました。

子女と私生活

アルフォンソ13世はビクトリア・エウヘニアとの間に5人の息子と2人の娘を授かりましたが、2人の息子が血友病に苦しむことになります。私生活においては、多くの愛人を持ち、とりわけ女優との間にもうけた私生児たちがいました。

この王の趣味は多岐にわたり、自動車運転や乗馬、さらにはポルノ映画の鑑賞まで及びました。彼はその生涯において、フリーメイソンに加入することや、最後のオーストリア皇帝を庇護するなど、数々のエピソードを抱えています。

総じて、アルフォンソ13世の人生は、スペインの激動の歴史の中での一つの象徴的な存在であり、その行動や選択は長く語り継がれることでしょう。

もう一度検索