アルフレッド・エドワード・ハウスマン

A.E. ハウスマン：詩と学問の生涯

アルフレッド・エドワード・ハウスマン（Alfred Edward Housman、1859年3月26日 - 1936年4月30日）は、ヴィクトリア朝から20世紀初頭にかけて活躍したイギリスの詩人、批評家、そして古典学者です。彼の作品は、抒情的な美しさと古典的な形式への深い理解によって特徴づけられます。

生涯

ハウスマンは、イギリス中部のウスターシャー、ブロムズグローヴ近郊の寒村で生まれました。ブロムズグローヴのグラマースクールでは、卓越した成績を収め、1877年にオックスフォード大学のセント・ジョンズ・カレッジに推薦入学しました。しかし、大学ではギリシア語の教授との研究方法における意見の相違や、自身の興味のある作家の研究に没頭した結果、学位を取得できずに1881年に卒業しました。

翌年からは特許局に勤務し、日中は事務処理を行い、退勤後は大英博物館の図書館でギリシア・ラテン古典の研究に没頭するという生活を送りました。この時期の研究成果は、1882年から学術雑誌『Journal of Philology』や『Classical Review』などに発表され、早くもその才能が認められました。

1892年、ハウスマンはロンドン大学のユニヴァーシティ・カレッジでラテン語・ラテン文学の教授に就任しました。研究の傍ら、詩作にも励み、1896年には代表作となる抒情詩集『シロップシャーの若者』を出版し、詩人としての名声を確立しました。

1910年には、ケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジのフェロー、ラテン語・ラテン文学教授に選出され、後世の歴史家であるE.H.カーを指導しました。カーは、ハウスマンから「多くの無意味なものを切り捨て、まっすぐに核心に至る第六感」を学んだと語り、彼を「かつて見たこともない最も強力な知的機関」と評しました。

著作

ハウスマンは、詩集と古典研究論文において、重要な作品を数多く残しました。

詩集

『シロップシャーの若者 (A Shropshire Lad)』 (1896年): ハウスマンの最も有名な詩集であり、青春の儚さや自然の美しさ、そして死への諦念といったテーマが、抒情的に歌われています。
『最後の詩集 (Last Poems)』 (1922年)
『拾遺詩集 (More Poems)』 (1936年)
『全詩集 (Collected Poems)』 (1940年)

古典研究論文

『マルクス・マニリウス Astronomica (Marcus Manilius Astronomica)』 (1903–1930年、5 巻): 難解なラテン語の天文詩の校訂に生涯を捧げました。
『ユウェナリスの諷刺詩 (Satires of Juvenal)』 (1905年)
『マルクス・アンナエウス・ルカヌス (Marcus Annaeus Lucanus)』 (1926年)

公刊された講義

『Introductory Lecture』 (1892年)
『Algernon Charles Swinburne』 (1910年)
『Cambridge Inaugural Lecture』 (1911年)
『The Application of Thought to Textual Criticism』 (1921年)
『詩の名称と本質 (The Name and Nature of Poetry)』 (1933年): 詩の本質について考察した講義録であり、彼の詩に対する考えを知る上で重要な資料です。

参考文献

『A・E・ハウスマン詩論 詩の名称と本質』（八潮出版社、1993年）
E・H・カー『コミンテルンとスペイン内戦』（岩波書店、1985年）

A.E.ハウスマンは、その短い詩の中に、人間の普遍的な感情や人生の深遠な真理を凝縮しました。彼の作品は、時代を超えて多くの読者に愛され続けています。

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