アルブレヒト5世 (バイエルン公)

アルブレヒト5世：バイエルン公、芸術の擁護者、反宗教改革の推進者

アルブレヒト5世（1528年2月29日 - 1579年10月24日）は、1550年から1579年までバイエルン公として君臨しました。彼の治世は、バイエルンにおけるルネサンス芸術の発展と、ドイツにおける反宗教改革の普及において重要な役割を果たしました。彼はバイエルン公領の芸術コレクションの基礎を築き、後世に多大な影響を与えました。

生涯

ヴィルヘルム4世とバーデン公女マリア・ヤコベアの息子として生まれたアルブレヒト5世は、1546年に神聖ローマ皇帝フェルディナント1世の娘アンナと結婚しました。1550年に父の死後、バイエルン公の地位を継承し、長子相続令が発布されてから最初のバイエルンの統治者となりました。彼の領土は下バイエルンと上バイエルンを含んでいましたが、現在の行政区域とは必ずしも一致しません。

また、アルブレヒト5世は、甥のフィリップ2世（後のバーデン辺境伯）とその妹ヤコベ・フォン・バーデン＝バーデン（後のユーリヒ＝クレーフェ＝ベルク公ヨハン・ヴィルヘルムの妃）の後見人となりました。

政策

カトリック教徒として育ったアルブレヒトは、父ヴィルヘルム4世が公領にもたらしたイエズス会の影響を強く受けました。インゴルシュタット大学は彼の治世中にイエズス会へと移行し、ルター派は弾圧されました。しかし、治世の初めにはプロテスタントに寛容な面もあり、信教の自由に関して譲歩を引き出すこともありました。アウクスブルクの和議後、プロテスタントが広まると、宗教問題について強硬な姿勢をとるようになりました。

アルブレヒトはランツベルク連盟の共同創設者の一人であり、1557年には国の信仰告白の統一を管理するために宗教評議会を設立しました。1559年にはミュンヘンにイエズス会の大学を設立し、ユダヤ人には公領内での居住を禁止しました。1563年のオルテンブルク貴族の陰謀により宗教論争が激化し、帝国におけるプロテスタントとの戦いにおける模範となりました。

1569年に定められた学則は、イエズス会の起源を明確に示し、教師の受け入れと教科書の選択について厳格な規則を定めました。また、次男エルンストをケルン選帝侯領の統治者にするために尽力しましたが、ケルン戦争を引き起こし、最終的にエルンストがケルン選帝侯に選出されました。

美術収集

アルブレヒト5世は芸術の熱心なコレクターであり、ミュンヘンを芸術都市として発展させた人物として知られています。1558年にはミュンヘン宮廷図書館を建設し、人文主義者ヨハン・アルブレヒト・ヴィドマンシュテッターから書籍を購入したことが始まりでした。その後、叔父エルンストの蔵書やハンス・ヤコブ・フッガーからの書籍購入によってコレクションは拡大されました。1558年から1570年にかけては、宮廷画家ハンス・ミーリッヒに描かせた懺悔の詩篇写本を作成させました。また、オルランド・ディ・ラッソを宮廷楽団に迎え、懺悔の詩篇の曲を作曲させました。

1563年から1567年にかけて新しい厩舎を建設し、その上層階に美術館を設置しました。美術館のコンセプトは、フランドルの医師であり芸術顧問でもあったサミュエル・クィッヒェルベルクによって策定されました。1566年にはハンス・ヤコブ・フッガーから古代彫刻のコレクションを手に入れ、骨董品収集の基礎を築きました。同年、美術専門家のヤコポ・ストラーダに古代彫刻を購入させ、1568年にはヴェネツィアの貴族アンドレア・ロレダンから骨董品コレクションを購入することに成功しました。これらの展示品を収蔵するために、1568年から1571年にかけて収蔵館を建設しました。

アルブレヒトのコインコレクションは、ミュンヘン・コインコレクションの基礎を形成しました。彼は著名な画家や彫刻家、作曲家オルランド・ディ・ラッソを宮廷に迎え入れましたが、宮廷の華麗さと贅沢を重視するあまり、臣民に多額の税金を課し、莫大な借金を抱えることとなりました。

子女

1546年にアンナと結婚し、7人の子を儲けました。

カール（1547年）
ヴィルヘルム5世（1548年 - 1626年） - バイエルン公
フェルディナント（1550年 - 1608年） - ヴァルテンベルク伯家の祖
マリア・アンナ（1551年 - 1608年） - 内オーストリア大公カール2世と結婚
マクリミリアーナ・マリア（1552年 - 1614年）
フリードリヒ（1553年 - 1554年）
エルンスト（1554年 - 1612年） - ケルン大司教、リエージュ司教

関連項目

バイエルン州立図書館
* オルランド・ディ・ラッソ

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