アルベルト・グリュンヴェーデル

アルベルト・グリュンヴェーデル（1856年7月31日 - 1935年10月28日）は、ドイツの著名な東洋学者、考古学者です。彼は、中央アジア探検隊を率いて、トゥルファンをはじめとする数々の重要な遺跡を発掘し、その学術的価値を世界に知らしめました。グリュンヴェーデルは、1856年にミュンヘンで生まれ、1876年から1879年までミュンヘン大学で古典文献学と考古学を学びました。さらに、エルンスト・クーンに師事し、サンスクリット語とパーリ語を修得しました。

その後、グリュンヴェーデルはベルリン民族学博物館に勤務し、1904年には同館のインド部長に就任しました。彼は、1921年に博物館を退職した後、バイエルンのバート・テルツに移り住み、数多くの学術論文を執筆しました。1935年、彼はレングリースでその生涯を閉じました。

グリュンヴェーデルの最も大きな功績の一つは、ドイツが主導した中央アジア探検隊を率いたことです。ドイツは4回にわたり中央アジア（クチャ、トゥルファン、カラシャールなど）に探検隊を派遣し、グリュンヴェーデルは、そのうち第1回（1902-03年）と第3回（1905-07年）の探検隊長を務めました。これらの探検は、中央アジアにおける古代文化の解明に大きく貢献しました。

グリュンヴェーデルは、探検の成果を基に、多くの学術的な著作を発表しました。その中には、レプチャ語の研究があり、メーナリング中将によるレプチャ語・英語辞典を編集・出版しました。また、『インド仏教美術』では、北西インドの仏教美術がギリシア文化の影響を強く受けていることを論じ、当時のヨーロッパではあまり知られていなかったチベット仏教の仏像や図像を紹介しました。

彼の主要な著作には、以下のようなものがあります。

『レプチャ語辞典』(1898年)
『インド仏教美術』(1900年)
『チベットとモンゴルの仏教神話』(1900年)
『1902-1903年冬、イディクチュカリとその周辺における考古学的調査報告』(1906年) - 第1回探検の記録
『シナ・トルキスタンの古代仏教礼拝所』(1912年) - 第3回探検の記録
『古代クチャ』(1920年) - キジル石窟の研究書
『ターラナータ「七口決付法伝」』(1914年)
『八十四成就者伝』(1916年)

これらの著作を通じて、グリュンヴェーデルは、仏教美術やチベット仏教の研究に新たな道を開きました。彼の探検記録は、現在でも貴重な資料として利用されています。特に、東洋文庫所蔵の貴重書デジタルアーカイブでは、彼の探検記録が公開されており、広く研究者に利用されています。また、国際敦煌プロジェクトのウェブサイトでは、ドイツコレクションとして、彼の収集した資料の一部が公開されています。

グリュンヴェーデルの学問的な貢献は、彼の没後も高く評価されており、彼が切り開いた研究分野は、多くの後進の研究者によって引き継がれています。彼は、東洋学、考古学、そして仏教研究において、重要な足跡を残した人物として、歴史に名を刻んでいます。

参考文献には、ヘルムート・ホフマンによる『新ドイツ評伝』(1966年)やヨハネス・シューベルトによる『アルベルト・グリュンヴェーデルと彼の業績』(1936年)などがあり、彼の生涯と業績についてより深く知ることができます。

外部リンクには、国立情報学研究所のディジタル・シルクロード・プロジェクトや東洋文庫所蔵の貴重書デジタルアーカイブ、国際敦煌プロジェクトのドイツコレクションへのリンクがあり、グリュンヴェーデルの研究成果や関連資料を閲覧することができます。

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