アルベール・カコー

アルベール・カコーの生涯と業績

アルベール・カコー（1881年 - 1976年）は、フランスの著名な土木技術者、建築技術者、航空技術者です。彼は数多くのダムや橋を設計し、また、航空工学の分野でも特筆すべき功績を残しました。特に、飛行船の設計やフランス最大の風洞の建設が評価されています。

幼少期と教育

アルベール・カコーは、ヴージエにある農園主の家庭に生まれました。彼の父は1890年代の初めに家庭に電気と電話を引き入れ、カコーに文明化の重要性を教えました。カコーは18歳でエコール・ポリテクニークに入学し、学業において優秀な成績を残し、嬉しいことに「Corps des Ponts et Chaussées」に選ばれました。

初期のキャリア

1905年から1912年まで、カコーはトロワ市のプロジェクト・マネージャーを務め、市の下水道システムを改良しました。この仕事のおかげで、彼は1910年のセーヌ川の大洪水から町を救うことができました。その後、1912年から建築構造会社に移り、土質工学や構造設計の分野でその才能を発揮しました。特に、鉄筋コンクリートに関する研究や、構造力学および土質力学に関する業績が顕著であり、1933年にはフランス科学アカデミーから表彰され、その後アカデミーの終身会員にも選ばれました。

彼は特に、義理の息子であるジャン・ケリゼルと行った土質力学の理論研究が広く応用されています。カコーの手にかかって、300以上の橋やダム、その他の構造物が設計されました。中でも、ドンゼル・モンドラゴン橋やダム、デン・ランス川の潮力発電所、さらにはリオデジャネイロのコルコバード山のキリスト像の内部構造設計などがあげられます。

航空分野での業績

カコーは1901年にフランス陸軍の飛行船部隊に関わり始めました。第一次世界大戦では気球部隊の指揮を取り、気球が風にあおられる際の不安定さに気づきます。1914年には、後部にひれを付けたソーセージ形の気嚢を開発し、特別な気嚢を備えることで飛行船の水平姿勢を保つことに成功しました。この「カコー型気球」は、90 km/h の風の中でも安定していました。フランスでは、連合国のためにカコー型気球が三年間にわたり生産され、アメリカでも多数が製造されました。これらは軍用気球として使用され、1918年にはクレマンソーによってカコーを軍用航空の技術ディレクターに任命しました。

1919年、カコーは航空宇宙博物館の設立を提案し、現在のル・ブルジェ航空宇宙博物館の礎を築きました。その後、1923年には新設された航空省で技術部門を統括し、航空技術の研究と教育を率いました。1928年には国立高等航空学校を設立し、1929年には実機を利用した大規模な風洞の建設を行いました。ただし、1933年には予算削減の影響で航空部門を辞し、再び構造力学の研究へと戻ります。

晩年と功績

カコーは1938年、再び航空行政に戻りましたが、1940年には職を辞しました。その後もフランス科学アカデミーに41年間在籍し、1952年から1961年まで会長を務めました。1951年にはレジオンドヌール勲章を授与され、1962年に80歳で引退しました。さらに、彼は同年にヴィルヘルム・エクスナー・メダルを受賞しました。

そして、1989年からはフランスの土木・構造工学学会がアルベール・カコー賞を設立し、彼の業績を讃え続けています。カコーの功績は、現代の技術と建築の基盤を築く上で重要な役割を果たしました。

もう一度検索