アルベール＝エルネスト・カリエ＝ベルーズ

アルベール＝エルネスト・カリエ＝ベルーズ（Albert-Ernest Carrier-Belleuse、1824年6月12日 - 1887年6月4日）は、19世紀フランスを代表する彫刻家です。本名はアルベール＝エルネスト・カリエ・ド・ベルーズ（Albert-Ernest Carrier de Belleuse）といい、その芸術的才能は多岐にわたり、彫刻だけでなく陶磁器のデザインにも貢献しました。

生涯

フランス北部、現在のエーヌ県アニジー＝ル＝シャトーで生まれたカリエ＝ベルーズは、幼少期に金細工師の弟子として技術を磨きました。その後、パリに出て彫刻家ダヴィッド・ダンジェに師事し、エコール・デ・ボザールでも短期間学びました。1850年から1855年までイギリスに滞在し、陶磁器メーカーのミントンでデザインの仕事に従事しました。

フランス帰国後はパリに自身のスタジオを設立し、1857年からサロン・ド・パリへの出展を開始しました。1862年にはフランス国民美術協会の設立に参加し、理事を務めるなど、美術界におけるリーダーシップも発揮しました。1864年には、後に偉大な彫刻家となるオーギュスト・ロダンと出会い、1871年からはブリュッセルでロダンと共に働くことになります。

1867年のサロン・ド・パリでは、彼の作品が高く評価され、「第二帝政時代のクローディオン」と称されるほどの人気を博しました。普仏戦争後、1871年にロダンとともにブリュッセルに移り、証券取引所の装飾彫刻などを手がけましたが、独立を望むロダンと袂を分かち、パリに戻りました。

1875年から1887年までは、国立セーヴル陶磁器製作所の芸術監督兼工房の所長を務め、多くの磁器デザインを手がけました。1877年にブリュッセルから戻ったロダンも、1882年までここで働きました。

1885年には、その功績が認められ、レジオンドヌール勲章（オフィシエ）を受勲しました。

カリエ＝ベルーズの才能は、息子たちにも受け継がれました。ルイ＝ロベール・カリエ＝ベルーズ（1848-1913）は画家、彫刻家として、ピエール・カリエ＝ベルーズ（1851-1932）は画家として活躍しました。

作品の特徴と影響

カリエ＝ベルーズの作品は、ロココ調の優雅さと自然主義的な写実性を兼ね備えている点が特徴です。その作品は、人物像、胸像、寓意的な像など多岐にわたります。特に、彼の制作したテラコッタの胸像は、当時のブルジョワ階級に人気を博しました。また、セーヴル陶磁器製作所では、芸術監督として数多くの磁器デザインを手がけ、そのデザインは現在でも高く評価されています。彼の作品は、後の彫刻家たち、特にロダンに大きな影響を与えました。

カリエ＝ベルーズとロダン

カリエ＝ベルーズは、オーギュスト・ロダンにとって重要な指導者の一人でした。ロダンは、カリエ＝ベルーズのもとで助手を務める中で、彫刻の基礎を学びました。ブリュッセルでの共同制作は、ロダンの初期作品に大きな影響を与えたと考えられています。また、セーヴル陶磁器製作所での共同制作も、ロダンの技術向上に貢献しました。カリエ＝ベルーズとロダンの関係は、単なる師弟関係にとどまらず、互いに刺激し合う創造的な関係であったと言えるでしょう。

まとめ

アルベール＝エルネスト・カリエ＝ベルーズは、19世紀フランスを代表する彫刻家であり、その多才な才能は彫刻だけでなく、陶磁器のデザインにも発揮されました。彼は、ロダンを指導した人物としても知られており、その芸術的遺産は後世に大きな影響を与えています。彼の作品は、今もなお、世界中の美術館や個人コレクションで鑑賞することができます。

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