アルマン・エマニュエル・ド・ヴィニュロー・デュ・プレシ

アルマン・エマニュエル・ソフィー・セプティマニー・ド・ヴィニュロー・デュ・プレシ（第5代リシュリュー公爵）

1766年9月25日、パリに生まれたアルマン・エマニュエルは、フランス復古王政期の政治家であり、同時にロシア帝国陸軍の将校としても活躍しました。彼の生涯は、フランス革命、ナポレオン戦争という激動の時代と深く結びついています。

生涯

前半生

第4代リシュリュー公爵ルイ・アントワーヌ・ソフィー・ド・ヴィニュロー・デュ・プレシとアデライード・ド・オートフォールの息子として生まれたアルマンは、幼少期を「シノン伯爵」として過ごしました。1782年、15歳でロザリー・ド・ロシュフォールと結婚しますが、夫婦関係は形式的なものでした。結婚後、教師と共にイタリア各地を旅行し、帰国後は王妃マリー・アントワネットの近衛連隊に入隊。その後、祖父が務めていた内廷侍従長の職を継ぎ、若くして宮廷内でその厳格さが評判となりました。

1788年に祖父が亡くなると、父がリシュリュー公爵を襲名。アルマンは「フロンサク公爵」となり、1789年には騎兵隊のエステルハージ連隊の隊長を務めました。ヴェルサイユ行進の際には、国王一家の安全を案じ、変装してヴェルサイユ宮殿へ向かい、マリー・アントワネットに危険を知らせようとしました。しかし、群衆を突破できず、マリー・アントワネットが避難するよう促したものの、その時すでに宮殿は群衆に包囲されていました。

亡命

マリー・アントワネットの指示で、フロンサクはウィーンへ向かい、神聖ローマ皇帝ヨーゼフ2世とフランス革命について議論する予定でしたが、ヨーゼフ2世の死去により、レオポルト2世の戴冠式に出席。その後、オーストリアの外交官シャルル・ジョゼフ・ド・リーニュ大公の息子、シャルル・ド・リーニュと親交を深めます。リーニュと共にロシア帝国陸軍に義勇軍として参加することを決意し、友人ランジュロン伯も加わり、1790年11月にモルドヴァに到着しました。

スヴォーロフのイズマイール攻略戦に参加し、その功績により、エカチェリーナ2世から聖ゲオルギー勲章と黄金の剣を授与されました。1791年2月に父が亡くなると、リシュリュー公爵を襲名し、フランス王室からパリへの召還命令を受け、テュイルリー宮殿の内廷侍従長に再任されました。

しかし、宮廷での役割に不満を感じていたリシュリューは、1791年7月に王の許可を得てウィーンへ戻り、その後、コブレンツに拠点を置くコンデ公ルイ5世の反革命亡命貴族軍に参加。しかしコンデ軍が敗北すると、エカチェリーナ2世の申し出を受け、再びロシアへ移りました。

ロシア陸軍では大将の地位を得ましたが、パーヴェル1世の不当な懲罰を受け辞任。しかし、パーヴェル1世暗殺後、皇帝となったアレクサンドル1世との親交から、フランスへの帰国が合法化され、1803年にオデッサの知事に任命されました。1805年には、ノヴォロシアの総督に就任し、11年間の統治でオデッサを大いに発展させました。1828年には、オデッサ市民によって銅像が建立され、現在もオデッサの階段として知られています。また、1806年から1807年にかけて露土戦争を指揮し、コーカサスの拡張にも貢献しました。

フランス帰国後

1814年、ナポレオン失脚に伴いフランスに帰国しましたが、ナポレオンがエルバ島から戻ると、ルイ18世とリールで合流し、ウィーンへ戻ってロシア軍に再び参加しました。リシュリューは、アレクサンドル1世との親交がルイ18世とフランスのために役立つと考えたのです。

リシュリューは王政復古の重要な支援者でしたが、亡命貴族とは異なり、革命の成果に逆行するような考えは持ちませんでした。ロシア皇帝の友人として、対仏大同盟に大きな影響力を持っていましたが、タレーランからの職務の申し出は、フランスを長らく離れていたことを理由に断っています。しかし、超王党派主導の議会が開かれると、モンモランシーに促され、首相を引き受けることになります。

リシュリューの影響力により、フランスは占領軍の負担から早期に解放されました。1818年にはアーヘン会議に出席しましたが、革命問題が再燃すれば、神聖同盟軍が介入する可能性を指摘されています。

選挙法改正をめぐり同僚に拒否されたリシュリューは、1818年12月に首相を辞任。その後、ベリー公暗殺事件とドゥカズの失脚を受け、1820年2月20日に再び首相に就任しました。しかし、2度目の在任期間は政治的な攻撃にさらされ、1821年12月14日に辞任。翌年1822年5月17日に卒中で亡くなりました。彼の遺産は甥であるアルマン・フランソワ・オデ・ド・ラ・シャペル・ド・サンジャン・ド・ジュミラクに引き継がれました。

この記述は、以下の参考文献を基に作成されました。

Chisholm, Hugh, ed. (1911). "Richelieu, Armand Emmanuel Sophie Septemanie du Plessis, Duc de". Encyclopædia Britannica (英語). Vol. 23 (11th ed.). Cambridge University Press. p. 302-303.
Cynthia Cox, Talleyrand's Successor, London (1959)
Antonia Fraser, Marie Antoinette, The Journey, New York (2001)
ロシア帝国歴史協会が出版した、リシュリューとポッツォ・ディ・ボルゴ、カポ・ディストリアらとの書簡、ドイツ旅行記、トルコ戦役に関する記録、リシュリュー公爵夫人の記録。
Léon de Crousaz-Crétet, Le Duc de Richelieu en Russie et en France (1897)
Rioult de Neuville, Revue des questions historiques (Oct. 1897)の記事
* R. de Cisternes, Le Duc de Richelieu, son action aux conférences d'Aix-la-Chapelle (1898)

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