アルミニウム粉末

アルミニウム粉末は、金属アルミニウムを微細な粉状にしたものです。その特徴として、金属の中でも特に燃焼熱が大きく、粉末状であるため表面積が非常に大きくなっています。これにより、酸化しやすい性質を持ち、可燃物として扱われます。

危険性

アルミニウム粉末は、酸、水、アルコール、酸化剤などと接触すると爆発を引き起こす可能性があります。特に、水との反応では水酸化アルミニウムと水素が発生し、発熱を伴います。そのため、アルミニウム粉末の火災に対して水をかけることは厳禁です。また、粉末が空気中に拡散すると、粉塵爆発を引き起こす危険性もあります。

日本の消防法では、150µmの網ふるいを通過する量が50%を超えるアルミニウム粉末は、第2類危険物に指定されています。粒径の大きなものは、一般的に粒状アルミニウム粉（アトマイズドアルミニウム粉）と呼ばれ、区別されます。

化学反応

アルミニウム粉末は、水と反応して水酸化アルミニウムと水素を生成します。この反応は発熱を伴います。


2Al + 6H2O -> 2Al(OH)3 + 3H2


また、酸化第二鉄とアルミニウム粉末の混合物に点火すると、激しい白色光を発しながら燃焼し、鉄と酸化アルミニウムを生成します。この反応はテルミット反応として知られています。


Fe2O3 + 2Al -> 2Fe + Al2O3


利用例

アルミニウム粉末は、その耐食性を活かして銀色の塗料に利用されています。また、微細な粉末は指紋検出にも使われます。塗料の原料として、粒度の細かいものが店頭やオンラインオークションサイトで販売されていることもあります。

さらに、アルミニウム粉末と氷を混合した推進剤「ALICE（ALuminum powder and water ICE）」が、NASA、空軍研究所、パデュー大学によって開発されています。

補足

アルミニウム粉末は、その反応性と危険性から取り扱いには十分な注意が必要です。保管や使用にあたっては、適切な安全対策を講じることが重要です。

参考資料

アルミニウム粉末 ( 国際化学物質安全性カード )
大塚輝人，板垣晴彦：「アルミニウム粉じんと水との爆発危険性に関する研究 (PDF) 」
* 「アルミニウム粉塵爆発その原因と対策 (PDF) 」2008年6月13日 社団法人日本アルミニウム協会

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