アルミニウム青銅

アルミニウム青銅（Al-Bronze／Al-Ni-Bronze）は、アルミニウムと銅を主成分とする合金です。一般的には「アルミ金」や「偽金」とも呼ばれ、その見た目から「アルミ銅」と表現されることもあります。

本来、「青銅」とは錫と銅の合金を指しますが、アルミニウム青銅には錫が含まれていません。しかし、銅合金の一種として広く認識されているため、「青銅」という名前が用いられています。同様に、「青銅」の名を持つ合金には、マンガン青銅などがあります。

概要

アルミニウム青銅は、銅が80～90%を占め、残りの成分としてアルミニウム、鉄、ニッケル、マンガンなどが加えられています。この合金は、光沢のある黄金色を呈し、見た目は真鍮（黄銅）に似ていますが、はんだ付けができないという大きな違いがあります。真鍮ははんだ付けしやすい性質を持っています。

アルミニウム青銅は、一般的な青銅と比較して、引張り強さ、硬さが優れており、さらに軽量で腐食に強いという特徴があります。これらの特性から、様々な分野で利用されています。

用途

アルミニウム青銅は、耐食性や耐摩耗性に優れているため、化学工業用部品、船舶部品、機械部品など、過酷な環境下で使用される部品に最適です。特に船舶のスクリューは、その耐久性と耐食性が求められるため、アルミニウム青銅がよく用いられます。また、その美しい金色から、金の代用品として装飾品にも使用されることがあります。

さらに、4ストローク機関のバルブガイドにもよく使用されており、その高い強度と耐熱性が評価されています。歴史的には、貨幣の素材として使用されたこともあり、日本では戦前に臨時補助貨幣として10銭と5銭のアルミニウム青銅貨が発行されました。

JIS規格

日本の工業規格（JIS）では、アルミニウム青銅は銅合金として扱われ、材料記号は頭文字「C」で始まる4桁の記号で表されます。以下に代表的なアルミニウム青銅の例を示します。

C6140: 銅の比率が最も高い。
C6161: 強度はそれほど高くないが、耐熱性に優れ、腐食性雰囲気中でも使用可能。
C6191: 耐摩耗性、耐食性に優れる。
C6241: C6191よりも高い強度を持ち、耐摩耗性に優れる。
C6280: 耐海水性、耐摩耗性に優れ、船舶部品などに使用される。
C6301: 耐食性、強度に優れる。

これらのJIS規格は、用途に応じて最適なアルミニウム青銅を選択する際の重要な指標となります。

関連事項

アルミニウム青銅に関連する他の金属材料として、以下のようなものがあります。

黄銅/真鍮: 銅と亜鉛の合金。
洋白: 銅、亜鉛、ニッケルの合金。
白銅: 銅とニッケルの合金。
青銅: 銅と錫の合金。

これらの金属材料は、それぞれ異なる特性を持ち、用途に応じて使い分けられています。

アルミニウム青銅は、その優れた特性から多くの分野で利用されている重要な金属材料です。

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