アルヴァロ・セメド

アルヴァロ・セメドについて

アルヴァロ・セメド（Álvaro Semedo）は、1585年頃にポルトガルのニーザに生まれ、1658年に亡くなったイエズス会の修道士です。彼は明王朝末期の中国にて布教活動を行い、特に『中華帝国誌』という著書で知られています。また、彼は大秦景教流行中国碑を初めて目撃したヨーロッパ人でもあり、その報告は当時の中国およびキリスト教に大きな影響を及ぼしました。

生涯の初期

セメドは17歳でイエズス会に加盟し、1608年にインドのゴアに派遣されました。ゴアでの5年間の学びを経て、1613年にマカオに到着し、さらに南京に移ります。しかし、1616年に中国でキリスト教弾圧が始まり、彼は同僚の宣教師たちと共にマカオに追放されました。この困難な時期に、彼は楊廷筠という人物の助けを借り、中国名を曽徳昭（Zēng Dézhào）に改名しました。

1620年、彼は再び密かに中国に戻り、主に杭州を拠点に布教活動を開始します。彼は南部中国の各地でキリスト教を広め、1649年まで広州を拠点に活動しました。この年、広州の永暦帝のもとでも活動を行いましたが、後に新任のミハウ・ボイムに交代し、再び広州に戻ります。1650年、清軍が広州を攻撃し、彼は一時投獄されましたが、仲間の助けにより無事に解放されました。

宣教活動と著書

セメドは特にヨーロッパ訪問中に記した『中華帝国誌』で高く評価されます。この作品はポルトガル語で執筆されたとされますが、原文は現存しておらず、最古の出版物は1642年のスペイン語訳です。この書はその後、イタリア語、フランス語、英語に翻訳され、広く読まれました。

『中華帝国誌』の内容には、大秦景教流行中国碑や、当時のキリスト教迫害の状況、科挙制度についての詳細が含まれています。日本語に訳された文献としては、リッチとセメードの著作があり、1983年に岩波書店から刊行されました。

また、彼はポルトガル語と中国語の辞書『字考』も編纂しましたが、現時点では未出版であるようです。セメドの著作は、中国におけるキリスト教布教の実態やその背景を学ぶ上で非常に重要な資料とされています。

セメドの影響

セメドの活動は、明代のキリスト教布教の歴史において、特に顕著な影響を与えました。彼の著作は、当時の中国の文化や社会についての貴重な情報を提供すると共に、キリスト教が中国にどのように受け入れられ、または拒否されたのかを知るための手がかりを与えています。1552年から1773年にかけてのイエズス会の活動を記録した書籍や彼の生涯に関する研究も多く、彼はポルトガルだけでなく、国際的にも重要な宗教的な人物とされています。彼の冒険心と信念は、後の世代に強い影響を与え続けています。

もう一度検索