アレクサンドル・カントロフ (ピアニスト)

アレクサンドル・カントロフは、1997年5月20日にフランスに生まれた、現代を代表するクラシック音楽のピアニストの一人です。ヴァイオリニストであるジャン＝ジャック・カントロフを父に持つ彼は、幼い頃から音楽に囲まれた環境で育ちました。

初期の音楽教育はピエール＝アラン・ヴォロンダに師事することから始まりました。その後、スコラ・カントルムでイーゴリ・ラシコに学び、その才能を開花させていきます。2013年にはパリ国立高等音楽・舞踊学校に入学。ここでは、フランク・ブラレイと上田晴子のクラスで4年間にわたり集中的なピアノの研鑽を積み、2017年にマスター課程を首席で卒業するという優秀な成績を収めました。卒業後も学びを深め、エコール・ノルマル音楽院でレナ・シェレシェフスカヤに師事し、さらなる高みを目指しました。

彼のキャリアにおける最大の転機は、2019年に開催された第16回チャイコフスキー国際コンクールでした。世界で最も権威ある音楽コンクールの一つであるこの大会のピアノ部門において、彼は見事優勝を果たしました。これは、同コンクールの歴史上、フランス人のピアニストがピアノ部門で優勝した初めての快挙であり、さらに、ファイナルでチャイコフスキーのピアノ協奏曲第2番を選んで優勝したのも史上初のケースとして、音楽界に大きな衝撃を与えました。

チャイコフスキーコンクール優勝後、カントロフには世界中から注目が集まり、数々のコンサートツアーが企画されました。残念ながら、この優勝記念ツアーでは日本での公演は実現しませんでしたが、彼は精力的に活動を続けています。すでに録音活動も積極的に行っており、BISレーベルからサン＝サーンスのピアノ協奏曲集などをリリースし、高い評価を得ています。また、これまでに台湾国家交響楽団、ペイ・ド・ラ・ロワール国立管弦楽団、リエージュ王立フィルハーモニー管弦楽団、ベルン交響楽団、ソフィア・フィルハーモニー管弦楽団、アイルランド国立交響楽団、関西フィルハーモニー管弦楽団など、世界各地の著名なオーケストラと共演し、ソリストとしての確固たる地位を築いています。

卓越した技術と豊かな音楽性を兼ね備えたアレクサンドル・カントロフは、今後も世界のクラシック音楽シーンを牽引していく存在として、その活動から目が離せません。

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