アレクサンドル・ミハイロヴィチ (ロシア大公)

アレクサンドル・ミハイロヴィチ

アレクサンドル・ミハイロヴィチは1866年4月13日にトビリシで誕生したロシアの大公である。彼はロシア皇帝ニコライ1世の末子ミハイル・ニコラエヴィチ大公とバーデン公国のオリガ・フョードロヴナの四男として生まれた。幼少時から「サンドロ」と呼ばれ育ったアレクサンドルは、成長とともに海軍への道を選び、1885年には士官候補生として海軍大学を卒業。その後、日本とブラジルを訪問し、外交的な役割も果たしていくことになる。

結婚とニコライ2世への影響

1894年、彼は従兄であるアレクサンドル3世の長女、クセニア・アレクサンドロヴナと結婚した。この結婚によって、アレクサンドルはニコライ2世の義理の兄弟となり、その結果、彼の私的な顧問としての役割を持つようになった。彼はニコライ2世に対して影響を及ぼす存在となり、彼の回顧録にはアレクサンドラ皇后との間でニコライ2世に精神的影響を与えようと競い合っていたと語られている。特にアレクサンドルは、「反ユダヤ主義がロシアで広がっている」との見解を持ち、これをニコライ2世に伝えることに熱心だった。

海軍でのキャリア

1895年に彼は太平洋艦隊の強化へ取り組み始め、翌年には海軍士官学校の教官として戦術理論を担当した。1901年から1902年にかけて、彼は黒海艦隊の戦艦ロスチスラフの艦長を務め、また1903年に黒海艦隊の下級艦隊司令官に任命された。日露戦争では武装商船団の指揮官となり、戦後は海軍参謀本部の創設に尽力し、新型戦艦の建造や艦隊の再編成を支持した。彼の貢献によって、商船の航海訓練や新港の設立が進んでいった。1909年には中将に昇進し、航空戦力の充実にも注力し、1910年にはセヴァストポリの郊外に航空隊士官学校を設立した。第一次世界大戦が始まると、彼はロシア帝国航空隊司令官として活動し、1916年12月には空軍総監に任命される。

晩年と亡命

ロシア革命が起きると、アレクサンドルは1918年にクリミアから脱出した。彼の家族は1919年にイギリス軍の戦艦マールバラに乗って亡命することに成功。亡命先のパリでは回顧録を執筆しつつ、エチオピア帝国皇太子ラス・タファリ・マコンネンと親交を深めた。興味を持ったのは考古学で、旅行を通じて各地を巡る日々を過ごした。彼は1933年2月26日にロクブリュヌ＝カップ＝マルタンで亡くなり、3月1日に同地に埋葬された。アレクサンドルと彼の妻、クセニアは生涯を通じてフランスを好み、特にビアリッツやコート・ダジュールでの休暇を楽しんだ。

子女

アレクサンドルの子供たちは、ニコライ2世からの承認を得ることが困難だったため、ほとんど結婚することができなかった。長女イリナのみがロマノフ朝時代に結婚を許され、長男アンドレイが1918年に結婚したとき、ニコライ2世はすでに退位し監禁状態にあった。

• - イリナ（1895年 - 1970年）
• - アンドレイ（1897年 - 1981年）
• - フョードル（1898年 - 1968年）
• - ニキータ（1900年 - 1974年）
• - ドミトリー（1901年 - 1980年）
• - ロスチスラフ（1902年 - 1978年）
• - ヴァシーリー（1907年 - 1989年）

アレクサンドル・ミハイロヴィチは、ロシア海軍の発展や政治的な影響力を持ち、激動の時代を生き抜いた歴史的人物である。

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